第346話 身心学道その三十四 去来生死

 「去来こらいを参学するに、去に生死あり、来に生死あり、生に去来あり、死に去来あり。去来は尽十方界を両翼三翼として飛去飛来ひこひらいす尽十方界を三足五足として進歩退歩するなり。」

 過去未来を学ぶ時に、過去において生きたり死んだりするということがあり、未来においても生きたり死んだりするということがある。生きるということに過去があり未来があり、死ぬということに過去があり未来がある。過去と未来は大宇宙全体を二つの翼三つの翼として飛び去り飛び来る。大宇宙全体を三本の足五本の足として進んだり退いたりするのである。

 私は日常生活というのは生死の連続だと考えていいのではないかと思っている。今この瞬間生きているけれどその前の瞬間はもはや消え去ってしまっている。消え去ることを死と言っても良いのではなかろうか。生死を繰り返すのが日常生活だと考えていいのではなかろうか。

 生きる時は過去も未来もひっくるめて生きるのだし、死ぬ時は過去も未来もひっくるめて死ぬのだ。

 我々は過去も未来もひっくるめて大宇宙全体を翼とするように、足とするように瞬間瞬間を過ごしていくのだ。

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