第335話 身心学道その二十三 自然外道

 「百丈大智禅師のいはく、「若執本清浄本解脱自是仏、自是禅道解者、即属自然外道(若し本清浄、本解脱、自は是れ仏、自は是れ禅道のしゅうせば、即ち自然外道に属す)」

 百丈懐海ひゃくじょうえかい禅師の言うことには「もし我々は本来清浄なものであり本来解脱しているから自分は仏であり自分の生き方は禅道に沿っているという解釈に執着する者は、その時点で自然見じねんけんという仏道ではない考え方に属するものとなってしまう。」

 人間は本来清浄なものだ。本来の姿は真実・真理なのだ。しかし頭の中の観念や習慣、世の中の動きなどによって本来の清浄さを失い、本来の姿を見失ってしまう。仏道を学び坐禅しない限り本来の姿、真実・真理を取り戻すことはできない。何もせずに放っておけば自然と清浄なものになれるなどということはない。自然にそうなるという自然見は誤っている。

 坐禅しながら仏教を学ばない限り真実・真理を得ることはできない。坐禅せずに自分の思うままに自由に生きることが良いことだみたいなことを言う人間がいるが、それは単なる独り善がりに過ぎない。幼稚な我儘に過ぎない。

 仏教は徹底した性善説だと思っている。人間は本来は素晴らしいものだ。しかしそれは坐禅して仏教を学ばない限り実現することはないのだ。

 

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