第328話 身心学道その十六 時節とともに発菩提心するなり

 「発菩提心は、にあらずにあらず、善にあらず悪にあらず、無記むきにあらず、報地ほうぢによりて縁起するにあらず、天有情はさだめてうべからざるにあらず。たゞまさに時節とともに発菩提心するなり、にかゝはれざるがゆゑに。」

 発菩提心は、有るとか無いとかいうものではなく、善ではなく悪でもなく、善でも悪でもない無記というものでもなく、何かの行いの結果によって起こるものではなく、天に住む人々はまったく起こすことはないというものでもない。ただまさにその時節とともに発菩提心するのであり、それは環境には関わらないからなのである。

 菩提心が起きるということは、頭の中で観念的に有るとか無いとか善だとか悪だとか無記だとか考えて起こるものではない。

 環境に関わらず発菩提心となる。天に住む人々は何不自由なく暮らしているのかもしれないが発菩提心はあると説かれている。

 私が真実・真理を知りたい、正しさとは何か知りたいと切実に思ったのは、その時節だったのだろう。色々思い悩む時はあったけれど、心底真実・真理を知りたいと思ったのは、その時節だったとしか言いようがないと思う。

 真実・真理を知りたいという心が起こった瞬間を大切にしなければいけない。

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