第327話 身心学道その十五 発菩提心

 「「発菩提心」は、あるいは生死しょうじにしてこれをうることあり、あるいは涅槃ねはんにしてこれをうる事あり、あるいは生死涅槃のほかにしてこれをうることあり。ところをまつにあらざれども、発心のところにさへられざるあり。境発きょうほつにあらず、智発ちほつにあらず、菩提心発ぼだいしんほつ発菩提心ほつぼだいしんなり。」

 発菩提心(菩提心が起きる、真実・真理を得ることを願う)は生まれて死んでいく日々の中で得ることがあり、落ち着いた境地の中で得ることがあり、あるいは生死涅槃のほかで得ることがある。その得る場所を待つという訳ではないけれども、菩提心を起こすことが妨げられることはない。環境によって起きるのではない、智恵を出して起きるのではない、菩提心が起こるのであり、菩提心を起こすのである。

 菩提心とは真実・真理を得たい、知りたいと願う心だと考えている。最初の方に書いたけれど、私は仕事上でどう考えても間違っていると思うことを推し進めようとする周囲との軋轢の中で、正しさとはなんだ、真実・真理とはなんだと

悩み、苦しんだ。真実・真理を知りたいと心底願った。そして正法眼蔵に出会った。これは発菩提心と言っていいのだろうと思う。

 発菩提心となるのは説明がつくものではない。ただ発菩提心ということがあるの事実だ。

 そして菩提心、真実・真理を得たいと願う心無くして、この世の中の様々な問題の真の解決はない。そう思っている。

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