第280話 仏性その八十九 大麻への依存

 「この十二時中、いづれの時節到来なりとかせん、いづれの国土なりとかせん。いまいふ十二時は、人間にんげんの十二時なるべきか、他那裏たなりに十二時のあるか、白銀びゃくごん世界の十二時のしばらくきたれるか。たとひ此土しどなりとも、たとひ他界なりとも、不依倚なり。すでに十二時中なり、不依倚なるべし。」

 この十二時の間にどのような時節が到来しているのだろうか、どのような国であるのだろうか。今言っている十二時は人間の世界の十二時なのだろうか、他の別な世界の十二時があるのだろうか、白銀世界の十二時がちょっとやってきているのだろうか。例えこの場所であっても、別の世界であっても、何かに依存して寄りかかってはいない。今この瞬間は十二時の中であり、他に依存して寄りかかってはいないのである。

 今この瞬間を生きている。一生懸命生きている。この瞬間、今がどの世界だとかなどということを考えることはない。ただひたすら瞬間瞬間を生きているだけだ。そして生きる基準は自分の内側にあり、外側にはない。不依倚である。

 大麻が世間を騒がせている。

 大麻を使うということは自分自身を大麻によって普通の状態ではないものにすることだ。大麻に依存することになる。これでは自分自身で生きていなきことになる。大麻が切れると大麻を欲するようになる。依存そのものだ。

 不依倚で生きなければならない。坐禅して不依倚の身心になりましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る