第272話 仏性その八十一 不壊身

 「これすなはち百丈の道処なり。いはゆる五蘊ごうんは、いまの不壊身ふえしんなり。いまの造次は開門なり。不被五陰礙ふひごおんげなり。」

 これがすなわち百丈懐海禅師の言うところである。いわゆる五蘊は今のこの不壊身である。今この瞬間に門は開いている(妨げるものはない)。五蘊(色受想行識)に邪魔されることはない。

 不壊身についてどう考えればいいのだろうか。「五蘊はいまの不壊身なり」という。五蘊とは色受想行識の5つのこと。人間は物質としての肉体(色)で、色々な感覚を受け止め(受)、そこから様々なことを想い(想)、行動し(行)、意識が生じている(識)。生きるとは、この五蘊が常に働いていることだ。そうすると不壊身は不死身というようなことではなく、五蘊が常に休むことなく活動し続ける、途切れることはない、そういう意味での不壊ではないか。そう考えている。

 不被五陰礙は色受想行識が大宇宙の真実・真理に従って正しく活動するならば、五蘊が妨げになることはないということではないかと思う。

 人間は肉体、感覚、想い、行動、意識が暴走することが往々にしてある。暴走は生きることの障害となる。

 仏とは暴走しない五蘊を持つのだ。それは坐禅すれば可能となる。

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