第253話 仏性その六十二 観念論は捨てる

 「しばらく国師にとふべし、「一切諸仏有仏性也無やむ(一切諸仏、有仏性なりや也無またいなや)」。かくのごとく問取し、試驗すべきなり。」

 ちょいと国師に質問してみたらよい。「一切諸仏有仏性也無」と。このように質問して試験してみたらよい。

 道元禅師は過去の逸話を取り上げて解説されるが、時々そこに登場する僧などに対して質問してみるということを書かれておられる。仏教に対する理解の程度を試されるように。

 ここでは、一切衆生は有仏性であるが、では、諸仏(仏と言われる人々)はどうなのか、という質問だ。

 衆生に対する仏という存在として見たとき、有仏性なのかどうかということなのだろうと思う。

 回答は書かれていない。

 私なりに思うのは、全ての存在が有仏性なのだから、諸仏であろうがなかろうが関係ないということではないだろうか。

 前回で衆生ではないものは有仏性ではないとしてある。なので、衆生に対する仏として捉えた場合、諸仏はどうなのか?ということだと思う。

 大宇宙の全ての存在とするならば、人間が頭の中で考える衆生だとか、諸仏だとかの区別は不要なのだ。

 ここの質問は頭の中の観念論は捨てなければならないということのためのものだと私は思っている。

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