第200話 仏性その四十一 質問=解 仏教はダイナミック

 四祖と五祖のやりとりについてちょっと整理しておきたい。

 四祖の「汝何姓」という言葉は、一般には「汝何いかなる姓か」と読むだろう。「お前さんの名前は何と言うのかね」だ。

 しかし道元禅師の解説は違う。「なんぢは何姓かしょう為説いせつ」しているのだ。「お前さんは何姓だ、と説いてあげている」のだ。とは「何ものかとしか言いようのない真実・真理」だ。お前さんは何ものかとしか言いようのない真実・真理なのだと説いておられるのだ。人間が生きるとは何ものかとしか言いようのない真実・真理を生きるのだ。坐禅した身心は何ものかとしか言いようのない真実・真理となっているのだ。

 四祖「是何性ぜかしょう」も一般には「これ何という姓か」「お前さんの姓はなんというのか」という質問だけれど、そうではない。しょうだとおっしゃっているのだ。

 是というのは今この瞬間の有りようだ。我々は今この瞬間を生きている。それこそが何ものかとしか言いようのない真実・真理なのだ。そのことが姓つまり仏性なのだ。

 道元禅師の解説は明快で痛快だ。仏教はダイナミックな雄大なものなのだ。

 坐禅しさえすればそのことがよくわかる。

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