第196話 仏性その三十九 雄大無限の存在

 「五祖いはく、「姓即有しょうそくう不是常姓ふぜじょうしょう」。いはゆるは、有即姓うそくしょうは常姓にあらず、常姓は即有に不是なり。」

 五祖が言ったところの「「姓即有しょうそくう」の「有」は大宇宙の中のありのままの存在である自分のこと。その自分を指す「姓」、呼び方はある。しかしその呼び方「姓」は世間一般に使われている「姓」ではない。これはどういうことかと言えば「ありのままの存在を示す姓」は世間一般に使われている「姓」ではない。世間一般に使われている「姓」はありのままの存在、大宇宙の中で今この瞬間の存在を示すものではないのだ。

 人間は本来大宇宙そのものであり、雄大無限の存在なのだ。雄大無限の存在をどう呼称するか。「なにものか」としか言いようがない。しかしそれでは社会がうまく回らないから便宜上「名前」をつける。

 肩書、地位とか呼称にこだわる人間はたくさんいる。執着すると言っても過言じゃない。しかしそんなものは本来の存在とは無関係だ。呼び名、ニックネーム、あだ名みたいなもんだ。

 人間として今この瞬間のあり方、行動それが人間の価値を決める唯一のものだ。その瞬間には呼び名などどうでもよい。ただ何ものかが今この瞬間に存在し行動しているだけだ。

 今の世の中、つまらぬものに拘泥して小さく小さくせせこましくなってしまっている。

 坐禅しましょう。そして本来の雄大無限の存在である自分を取り戻しましょう。

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