第187話 仏性その三十 神通力

 「第十二祖馬鳴尊者めみょうそんじゃ、第十三祖のために仏性海をとくにいはく、「山河大地皆依建立せんがだいちかいえこんりゅう三昧六通由茲発現さんまいろくずうゆうじほつげん。(山河大地皆依つて建立し、三昧六通茲これに由つて発現す。)」

 第十二祖の祖馬鳴尊者めみょうそんじゃが第十三祖の迦毘摩羅尊者かびまらそんじゃに仏性海について説いておっしゃった「この山河大地はすべて仏性によって成り立っている、坐禅した境地とその時の身心の状態(六通、六神通)は仏性によって実現する。

 ここは坐禅しないと理解できないところだ。

 坐禅した身心では山も川も大地もこの宇宙の全存在が真実・真理であると感得できる。その坐禅した身心は均衡のとれた安定した状態=大宇宙の真実・真理と一体となった状態。この時智慧が働く。智慧とは直観的に真実・真理を実現・実証できる力だ。間違ったことをしない、できないものが智慧だ。我々は今この瞬間を生きている。今この瞬間に判断できなければいけない。真実・真理を今この瞬間に直観的に実現できることを智慧という。

 そして智慧とは真実・真理に基づくものだからごく普通のことができるということでもある。超人的、神秘的なことではない。ごく普通のごく当たり前のことができる。これが智慧だ。これが神通力だ。神通力というと超能力のように思うかもしれないがそうではない。ごく当たり前のことができることだ。

 しかしこれは容易なことではない。瞬間瞬間常に真実・真理に従って当たり前のことをやり続ける。これは大変なことだ。頭の中で理屈をこねくり回してできることではない。

 ではどうするか。

 坐禅すればいい。坐禅した瞬間それは可能となる。

 

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