第188話 仏性その三十一 我々は山河大地そのもの

 「しかあれば、この山河大地せんがだいち、みな仏性海なり。「皆依建立かいえこんりゅう」といふは、建立せる正当恁麼時しょうとういんもじ、これ山河大地なり。すでに「皆依建立」といふ、しるべし、仏性海のかたちはかくのごとし。さらに内外中間ないげちゅうげんにかかはるべきにあらず。」

 そういうことであるから、今この山や河や大地はみな仏性の海というようなものである。「皆依建立かいえこんりゅう」というのは仏性そのもの仏性によって成り立って今この瞬間にある、それが山河大地ということである。すでに「皆依建立かいえこんりゅう」と言っている。知らなくてはいけない、仏性海の形とは今この瞬間のありのままの現実の姿のことなのである。であるからさらに内側だとか外側だとかその中間だとかそんなことを問題にしてはいけない。

 我々は本来大宇宙と同じ大きさを持った存在なのだ。山河大地そのものなのだ。そしてそれが仏性というものなのだ。

 しかしそれを見失ってうろうろおろおろ落ち着きなく探し回っている。金が欲しい、地位が欲しい、名声が欲しい、目立ちたい、他人に認められたいそういう妄想に憑りつかれ、本来山河大地そのものの仏性である本来の自分を見失っている。

 坐禅して本来の姿を取り戻さなければいけない。内側外側その中間だとか探し回る必要はない。ただ坐禅さえしていればいいのだ。

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