第185話 仏性その二十八 理念・理想を妄想にするな

 「しるべし、「時節若至じせつにゃくし」は、十二時中不空過なり。「若至」は、「即至」といはんがごとし。時節若至すれば、仏性不至ぶっしょうふしなり。」

 知らなければいけない。「時節若至じせつにゃくし」というのはいつの時もずっと虚しく過ごすことはないということである(生きるということは瞬間瞬間を一生懸命必死に行動するということだ)。「若至」というのは「既に今この瞬間に仏性が至っている」いうことである。「時節がもし至れば」などと理解するならば仏性を正しく受け止めることはできない。

 人間は今この瞬間にどうするかしかない。このありのままの現実の中でどう行動するか。それが全てだ。「時節がやってきたなら」なんて暢気なことを言っていてはいけない。時節とは今この瞬間なのだから。

 理念や理想は大切だ。しかし今この瞬間のありのままの事実が見えずに行動するならその理念や理想は妄想に過ぎない。妄想に憑りつかれた愚行に過ぎない。今の世の中妄想と愚行に満ち溢れている。

 今この瞬間に真実・真理を実現・実証することができなければいけない。そしてそれは坐禅することで可能になるのだ。

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