第138話 摩訶般若波羅蜜その九 日頃の心がけ

 次の般若が精進しょうじん

 精進というと難行苦行をひたすら続けることのように感じる人もいるかもしれない。

 けれど前にも書いたが、難行苦行しなければ真実・真理を実現・実証できないんじゃ仏教は広く人々を救うことはできない。千日間山の中をほっつき歩かなきゃ真実・真理に到達できないなんてことならほとんどの人は救われないことになる。

 何回も書くけど仏教は超人になるためのものじゃない。普通の人間になるためのものだ。千日間山の中歩くのは凄い体力だとは思うけど、だから何なんだとしか思えない。普通の人が普通にできなきゃ意味がなかろうと思う。

 限られた日数、年月だけ必死にやることはできるように思う。欲望に憑りつかれた人間はそれくらいのことはやってしまえると思う。

 しかし生きている間、嘘をつかないというのはほとんど不可能なくらい難しい。ただ仏教では戒律を守れなかったとしても反省しまた修行していくならばそれで良しとしている。けれどこれを繰り返し繰り返し少しでも進歩しようとするのは大変なことだ。

 日常生活、仕事でも瞬間の言葉、行動が大きな問題を引き起こすことになる。下手をすると命にかかわる。

 日々瞬間瞬間を生きるということは大変なことなのだ。

 そして人間の価値を決めるのは、この日々瞬間瞬間の行動の積重ね以外にはない。日頃の心がけが人間の価値を決める。

 オリンピックの贈収賄事件は未だに騒ぎになっているけれど、当事者の人たちは日々の行動が間違っていたとしか言いようがない。

 日々瞬間瞬間を真実・真理に従って生きていくためには坐禅するしかないのだ。

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