第139話 摩訶般若波羅蜜その十 脳味噌偏重をやめよ

 静慮じょうりょ禅定ぜんじょう)そして般若はんにゃ

 静慮は坐禅の境地、坐禅している時の身心の状態。自分は大宇宙の一部であることが体感され、ありのままの現実が感じられる。脳味噌であーだこーだと能書き言っている状態ではない。身心脱落して本来の面目に戻り、自らのことがありありと照らし出される回光返照えこうへんしょうという境地、状態だ。

 そしてこの状態になった時、般若、智慧が発揮される。智慧というのは真実・真理に基づいてどのように行動したらよいかが直観的にわかるということ。人間は瞬間瞬間に生きているのだから正しい行動が直観的にできなければ命にかかわる。

 ここのところ六波羅蜜について書いてきた。六種類といってもそれぞれが独立している訳ではない。真実・真理を6つの側面から説明したとでもいう感じだろうか。

 坐禅した瞬間、この六波羅蜜はこの身心に満ち溢れる。

 脳味噌偏重はやめたほうがよろしい。まず坐禅して身心を人間本来の姿に戻さなければいけない。

 戦争はこの世から消えていない。軍事力という人を殺し破壊するものを人類は破棄することができていない。

 脳味噌で考えるだけなら、戦争する理由・大義名分なんてどうとでも作れる。軍事力もしかり。一方で平和平和と脳味噌で考えて唱えたって平和にはならない。

 坐禅して真実・真理を実現・実証する、坐禅した身心で行動する。それ以外に人類が存続する道はない。

 今は戦争する人間も、平和を唱える人間も狭小な視野と独り善がりの理屈でうろうろおろおろしているだけだ。いやはや。

 

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