第110話 現成公案その九 「自己をならふ」について

 「仏道をならふといふは、自己をならふ也。」

 仏教というのは、自分のことを自分でできるようにするためのものだと思っている。どうするかと言えば、坐禅して大宇宙の真実・真理と一体となって瞬間瞬間を生きていけばいい。坐禅した身心は直観的に真実・真理に即した行動がとれる。

 人間が生きている環境、その時の身心の状態などは人によって様々だ。だから単純に「こうすればいい」なんてことが言えるわけがない。他人のことなど完全に理解できるはずがない。

 だから「こうすればうまくいきます」とか「幸福になれない原因はこれです」などという奴は詐欺師以外の何ものでもない。そのようなことを言う集団は断じて宗教とは関係ない。

 仏教にも戒律はある。けれどそれは殺すな、嘘をつくなというようなごく当たり前のことでしかない。

 キリスト教、イスラム教のことは良く知らないけれど、もっと詳細に生き方について定めているように思える。そしてそれに背くことは絶対に許されないのじゃなかろうか。

 仏教は本来の人間のあり方に立ち戻って自由自在に生きることができる方法を教えるものだ。その方法とは坐禅だ。坐禅して自分の人生を自分で生きていくのだ。

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