第41話 辦道話その三十 坐禅の力は響き渡る

 「ただ坐上のしゅのみにあらず、くうをうちてひびきをなすこと、とうの前後に妙声綿々みょうしょうめんめんたるものなり。このきはのみにかぎらむや、百頭はくとうみな本面目ほんめんもく本修行ほんしゅぎょうをそなへて、はかりはかるべきにあらず。」

 坐禅している時だけのことではない。坐禅することは無限の空間を打って響きをなすことであり、この響き、坐禅の力の影響は鐘を撞いた時に鐘の音がごーんと長く響き続けるように響き続けるのだ。その響きはは今この所に限られない。この響きによって大宇宙のあらゆる存在が本来の面目=真実・真理の状態となり、真実・真理の経験、修行を備えるのだが、そのことは人間の脳味噌で考えたところで把握できることではない。

 坐禅した身心は真実・真理の状態となる。坐禅を終えてもその状態は鐘の響きがしばらく残るように続いていく。そしてそのことにより、大宇宙の全存在が真実・真理の状態となっていく。

 坐禅は毎日続けなければいけない。鐘の響きが完全に消えないように毎日続けて真実・真理の身心を維持してかねばならない。

 そして真実・真理の身心を維持すること、坐禅の力が響き渡ることによって世界の全存在を真実・真理の状態にするのだ。

 

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