前のエピソード――第39話　辦道話その二十八　何故殺すのか破壊するのか世界を汚すのか？

　「ここをもて、わづかに一人一時の坐禅なりといへども、諸法とあひ冥（みょう）し、諸時とまどかに通ずるがゆゑに、無尽法界（むじんほうかい）のなかに、去来現（こらいげん）に、常恒（じょうごう）の仏化道事（ぶっけどうじ）をなすなり。彼々（ひひ）ともに一等（いっとう）の同修（どうしゅ）なり、同証なり。」

　そういうことであるから、わずかにただ一人が今この時坐禅しているということだけれども、そのことは大宇宙のすべての存在、森羅万象と目には見えないけれども一体となっており、あらゆる時間において欠けることなく通じ合い、この広大無限の世界の中で過去・現在・未来において常に変わることのない仏の教え大宇宙の真実・真理を展開しているのだ。誰が坐禅してもそれは釈尊と全く同じ修行であり、真実・真理を経験することなのである。

　人間一人は物質的にはちっぽけなものであるけれど、坐禅した瞬間に大宇宙そのものとなる。澤木興道氏の言う「宇宙とぶっ続きになる」のだ。誰もが坐禅した瞬間にそうなる。

　坐禅は広大無辺、無限の力、大宇宙の真実・真理を展開する力を持っている。

　坐禅した身心でない限り真実・真理は実践できない。どんなに本を読もうが、情報を集めようが、脳味噌をひねくり回して何か考えようが、真実・真理には絶対に到達できない。

　つまり坐禅する以外に人類を救う方法は無いのだ。