第29話 辦道話その十八 事実がありのままに見えているか?

 このところ引用している下の文章だが、結局のところ坐禅した瞬間にこの心身は真実・真理の状態、大宇宙の真理の状態になり、そして周囲の世界も真実・真理の状態、大宇宙の真理の状態になるということだと考えている。

 主義主張や欲望に憑りつかれると、自分の身心が歪みそして世界が歪んで見える。しかし本人は自分の正しさを疑わない。今で言えばプーチンなんて一番わかりやすい例だろう。

 大宇宙は厳然とした唯一つの存在だけれど、人間はそれぞれの主義主張、欲望などによって様々に見えてしまう。そこに衝突が起こり、憎悪の連鎖が始まる。

 だから、坐禅して身心脱落し本来の面目を取り戻す必要がある。その時大宇宙の全存在、森羅万象はありのままの姿、真実・真理の姿を現す。

 このことなしに人類の未来はない。

 「諸仏如来しょぶつにょらいをしては本地ほんじ法楽ほうらくをまし、覚道かくどう荘厳しょうごんをあらたにす。および十方法界じっぽうほうかい三途六道さんずろくどうの群類、みなともに一時に身心明浄しんじんみょうじょうにして、大解脱地だいげだつちを証し、本来面目ほんらいめんもく現ずるとき、諸法みな正覚しょうがく証会しょうえし、万物ばんぶつともに仏身を使用しようして、すみやかに証会しょうえ辺際へんざい一超いっちょうして、覚樹王かくじゅおう端坐たんざし、一時に無等々むとうどう大法輪だいほうりんを転じ、究竟無為くきょうむい深般若じんはんにゃを開演す。」

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