第28話 辦道話その十七 地獄・餓鬼・畜生の世界

  ロシアのウクライナ侵攻を見ていると、下に引用した「三途六道さんずろくどうの群類」という言葉が思い浮かぶ。

 三途とは「地獄・餓鬼・畜生」の境涯のこと。地獄は過度な欲望の状態、餓鬼は欲望に憑りつかれている状態、畜生は欲望を手に入れるために手段を択ばない状態。今のロシアはこの三途そのものに見える。

 けれども、今の人類は程度の差はあれ三途の境涯だと思う。

 世界各国、人類は実際に畜生になるかならないかの境目にいるというようなレベルなんじゃないかと思う。

 そしてそれを解決する思想も信仰もない。残念ながらそういうことだ。

 ロシアをプーチンを止めることはできなかったという事実がそれを証明している。

 頭でいくら考えたって不可能。むしろ頭の中だけで考えていると余計歪んだ極論になっていく。本人は純粋な考え方だと思っているからどうにもならない。

 どうするか?肉体を坐禅の姿にするとき、その瞬間に身心は大宇宙の真実・真理そのものになる。「一時に身心明浄しんじんみょうじょうにして、大解脱地だいげだつちを証し」大宇宙の真実・真理の状態というのは明るく澄んだ状態であるし、頭の中の歪んだ考え、身体に染み付いた不要なもの(真実・真理ではないもの)が全て消え去った状態を経験することになる。

 そしてこのような状態は特別な凄い状態ではない。人間本来の状態なのだ。本来の状態に戻っただけなのだ。それが「本来面目ほんらいめんもく現ずるとき」なのだ。

 今、思想も信仰も無力だということが証明されているではないか。

 坐禅するしかないのだ。

 「諸仏如来しょぶつにょらいをしては本地ほんじ法楽ほうらくをまし、覚道かくどう荘厳しょうごんをあらたにす。および十方法界じっぽうほうかい三途六道さんずろくどうの群類、みなともに一時に身心明浄しんじんみょうじょうにして、大解脱地だいげだつちを証し、本来面目ほんらいめんもく現ずるとき、諸法みな正覚しょうがく証会しょうえし、万物ばんぶつともに仏身を使用しようして、すみやかに証会しょうえ辺際へんざい一超いっちょうして、覚樹王かくじゅおう端坐たんざし、一時に無等々むとうどう大法輪だいほうりんを転じ、究竟無為くきょうむい深般若じんはんにゃを開演す。」

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