第15話 辦道話その四 憑依され酔い狂う

 思想だとか、主義だとか、人間が生きるよすがとなるものは色々ある。

 ただ、その前に根源的に根本的に必要なのは、人間本来の身心であることだ。人間本来の身心とは、澤木興道氏の言葉「宇宙とぶっ続きになる」「宇宙と波長を合わせる」その状態の身心だ。西嶋和夫氏の「大宇宙の真理を体得した」身心だ。

 この状態になるにはどうしたらよいか。坐禅すればいい。坐禅さえしていればいい。逆に坐禅せずにそのような状態になるのは不可能だ。

 その身心の状態の時、真実・真理と一体となって世界が開ける。すべてが真実・真理の下に目の前に現れる。人間のつまらぬ脳味噌の限界が取っ払われ無限の広大な大宇宙の中に自分が解放される。

 この心身で思想だとか主義だとかを吟味しなければいけない。真実・真理なのかがわかる。

 坐禅した身心、大宇宙の真実・真理と一体となった身心でのみ、正しいことがわかり、行動できる。

 そうでない場合は、単なる思い込みであり、思想や主義に憑依されている状態なのだ。狂っていると言ってよい。本人は自分の主義・主張に酔って狂っているからいい気分だろうが、世界にとっては迷惑でしかない。

 今の世の中、世界中憑依された者たちが彷徨し揉め事を繰り広げている。

 坐禅して憑依から解放されなければいけない。人類の存亡はそこにかかっている。

 「いまをしふる功夫弁道は、証上に万法をあらしめ、出路に一如を行ずるなり。その超関脱落のとき、この節目にかかはらむや。」

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