第12話 辦道話その二 何故殺す?ロシアのウクライナ侵攻

 諸仏如来しょぶつにょらい岩波文庫水野弥穂子氏の脚注「諸仏は自己の正体であり如より来るもの。如はありのままの真実。」

 「諸仏は自己の正体」私たちは仏なのだ。本来仏なのだ。

 しかし、現実にはロシアはウクライナに侵攻し、ウクライナは反撃し殺しあっている。

 国際的にはロシアが悪いという国が多いようだ。経済制裁とやらをするそうだ。

 けれど、何故殺し合いをするのかという点がはっきりしない。ロシアからすれば自分たちには正当性があるということなのだろう。

 ウクライナがNATOに加盟するのはロシアにとっては脅威なのだとかいう。

 ということは軍事的なバランスが崩れることがまずいと言うことなのか?

 であれば、世界は各国、各地域の軍事力を拮抗させることによって平和を維持するということになるんじゃなかろうか。軍事力を前提としない平和は存在しないということになる。

 現在の世界のありようを見ると、とりあえずこのことを肯定せざるを得ないんじゃないか。

 ここで、冒頭のことに戻る。「諸仏は自己の正体」であるのに何故このような世界になってしまうのか。

 単純に言えば、人類が「自己の正体」を見失っているからだ。

 主義、思想に憑りつかれて「自己の正体」を見失っている。「自己の正体」に立ち戻って主義、思想を取り扱わなきゃいけない。「自己の正体」を見失って主義、思想を振り回せば、その主義、思想が純粋であればあるほど人間は冷酷になる。

 私は仏教は思想ではないと考えている。「自己の正体」に立ち戻るための方法論だと思っている。怒る人がいるだろうけど「ノウハウ本」のようなものだ。

 そのノウハウの真髄、それが坐禅だ。

 坐禅しない限り「自己の正体」に立ち戻ることは不可能なのだ。

 



 

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