転生はセーフティとリスクが多い件

神田藍月

プロローグ

「――速報です。今日の午後6時頃、高知県左座市の歩道で刃物を持った何者かの男に10代~40代の男女10名を次々と刺し、警察によりますとそのうちの一人が死亡、他の9名は怪我をしているということです。繰り返しお伝えします。今日午後6時頃、高知県左座市○○町の歩道で刃物を持った何者かの男に10代~40代の男女10名を次々と刺し、警察によりますとそのうちの1名が死亡、他の9名は怪我をしているということです。

 悲鳴が聞こえ外を見ると血を流し倒れている人がいたと、近所の人から110番通報がありました。警察の調べによりますと、これまでに10代の男女3名、20代男女4名、30代女子1名、40代男女2名、合わせて10名が怪我をして左座市内の病院で手当てを受けていましたが、警察によりますと、10代女子学生1名が死亡したということです。病院から中継です―――」

 と、ニュースのキャスターはこう伝えた。






「お姉ちゃん帰って来ないね。」

 ご飯を食べながら、小さな9歳程の女の子が言う。その子のお母さんだろうか、20代半ばの女性は、

「そうだねぇ。菜々遅いね。もしかしたら、お友達と遊びゆうとちゃうかなぁ。」

 そういう風に言った。しかし、女の子は

「遊びゆう?ありえへん!!お姉ちゃんいつも早いじゃん!!」

 と、否定した。

 女性は確かにあまり遊ぶ事のない菜々が遅いことに驚いている。遅くなったら、連絡は来るはずだ。それなのに全く帰って来ないし、連絡も来ない。

 その時、女性の電話が鳴った。着信音が家の中に響いた。

「はいもしもし、一之瀬です。」

『一之瀬さん?テレビ観て!今すぐ!』

 その声は急いでいるとすぐに分かる。そして、声の主は叫んでいる様な声だった。

 女性は急いでテレビのリモコンでテレビを見ると、通り魔事件のことを速報していた。

 嫌な予感しかしなかった。

『...一之瀬さん!もしかして、菜々ちゃん帰ってきてない?...警察から、刺されて琢也が重傷だって...!今すぐ病院に来て欲しいって言われて...』

「うん。菜々は帰ってきてない。...わかった。私も行く。車出すから家の前いてくれる?」

『うん...分かった。』

 女性は電話を切り、女の子に向かって、「菜々が巻き込まれてるかもしれない。来る?」

 女の子は、「うん、行く。」と一言。





「一之瀬菜々さんのお姉さんですか?...菜々さんは、亡くなりました。緊急搬送された時点でもう...すいませんでした。」

 警察にその言葉を聞いた時、女性は項垂れ、泣いた。小さな女の子もその事で悲しい事だという事と分かったのだろう。女性と一緒にして泣いた。

 落ち着いてから女性は

「...わ..かりました。教えて頂き、ありがとうございます...。」

と、警察にお礼した。

「お母さん、お姉ちゃんは...?」と、女の子は聞いていて、女性は女の子に目線を合わせて、「菜々お姉ちゃんはね、お空の上まで行ったの。だから、悠もなかないで。」

そっと、女の子、否、悠に手を頭にのせて撫でた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る