フランケンシュタインをどうしても作りたかった博士(男女兼用台本)

被検体製造番号 D16993……適合せず。

畜生……これもダメだというのか。

どうして、どうしてなのだ。

理論は完璧だ。完璧なはずなのに。

どうして失敗するのだ。


被検体製造番号 D16994……これもダメか。


畜生……畜生畜生畜生畜生畜生畜生ッ!


どうして、私は完成させられないのだ。


あぁ、君に、君に会いたい。

そのためだけに、私は今まで培ってきた化学を全て結集させたというのに。

ただもう一度、君に会って話がしたいだけだと言うのに。


D16995……D16996……D16997……ダメだ。どれもダメだ。全部ダメだ。


私はただ、ただ君に会って……あの日のことを謝りたかった。

それだけだ。それだけなのだ。


お願いだ。目を覚ましてくれ。

お願いだ。動き出してくれ。


君の魂は確かにここにあるはずなんだ。

帰ってきてくれ。

お願いだ……。


……っ!?

嘘だろ、今右手が微かに動いた気がする。


間違いない!

動いている。確かに動いている!


あれから何度失敗したかもう覚えていない。

半ば投げやりだった。

だが、間違いない。

ついに、ついに成功した。

ついに成功したんだ!


あぁ、目を。

目を開いてくれ。

私を見つめてくれ。

私に微笑んでくれ。


君に会いたかった。

ただ君に会いたくて、私はこれまで沢山の禁忌を犯してきたんだ。

幾人も殺してきた。

あらゆる死体を繋ぎ合わせてきた。

何度も人体を創造しては捨ててきた。

その全てが失敗作だったんだ。

でも、ようやく。

ようやく目を覚ましてくれたんだな。


さぁ、声を聞かせてくれ。

私の想いを聞いてくれ。


私は、私は君に会いたかったんだ!


なんだ?

なんて言っている?

聞こえない。

もっとハッキリと言ってくれ!

君の言葉を聞かせてくれ!


……うん、なんだ?


……一番最初から成功していた?

まさか、そんなバカな……。


私はこれまで何億回も、君を甦らせては殺してきたのか……。

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