裏倉庫の秘密
ケイが工場に駆け戻った時、ギンはチャトガを指していた。
相手は時々チャトガをうちにくるワン爺さん。チャトガでギンといい勝負ができるほど強いらしく、よく一緒に指している。ワンはこの国の言葉が苦手らしく、片言だが話す。ただ会話は好きなようでケイとも時々話していて顔見知りだ。
慌ただしく駆け込んできたケイに驚いてギンとワンが話しかける。
「坊主、どうした?」
「焦ルノ、良クナイ。オチツイテ。」
息を切らしながら、ケイは伝言を伝える。
「はあっ、はあ。。ギンさん、ゴルドンさんから伝言です。。遭難発生。緊急事態につき準備を頼む、と。。」
それを聞いたギンは立ち上がった。
「ワン!カオルと連絡は取れるか。」
「イマトッテル。」
ワンは目を瞑りだまりこんだ。
15秒ほどで目をあける。
「13番ぽいんとデ遭難。深クマデ落チテルカモ。ダッテ。」
「本当に緊急事態じゃねえか。」
1つため息をつくと、ケイに向かって振り返った。
「しょうがない。坊主、ちょっと手伝え。」
「は、はい。何を?」
「くればわかる。あと、これから見ることは他言無用だ。わかったな?」
「え、なにを。。」
「わかったな!?」
「はい!」
ギンにただならない気配に押されてうなづくケイ。
ギンとワンが立ち上がると、工場の裏手に向かって走り出した。
ケイは置いてかれまいと続く。
工場の裏手には古い倉庫がある。普段鍵がかかっておりケイは中に入ったことはないが、ケイは、昔ギンが『捨てられないデカブツをしまってるんだよ』と言っていたことを思い出していた。
倉庫の扉にたどり着くと、予想以上に新しい鍵がついていることにケイは気づいた。鍵だけでなく何かの認証処理も行った様子でギンがドアを開けた。
ドアの中には予想していない光景が広がっていた。
真ん中の地面が大きく長方形に掘り下げてそこに金属で枠を作られている。
その枠には梯子やタラップ、クレーンなど最新の魔導機整備環境が整っていた。
その真ん中に船があった。
正確にはケイは船かは分かっていない。
大きさとしては長さ15m、幅5m、高さ4m程度で長細い楕円形が基本的なフォルム。ケイには金属の大きい葉巻のようにも見えた。船と見えたのは後方と思われる方向にスクリューのようなものがついていたためだ。他にも大きく飛び出さないようにつけられた凹みからも色々な機能が搭載されていることが感じられるものだった。
掘り下げられた土床に置かれていたため、ケイにはメンテナンス中に見えたが、不思議と目を引いた。
「ギンさん、これ、って、、、?」
「話をする時間がない。とりあえず乗るぞ。」
「乗る?」
ギンとワンは船の上に向かう。
ワンが普段と違い軽快に動いているのが見えてケイは驚いた。
船の上部に着いたギンが何かをかざすと、シューっと音が鳴って上部が開く。
中から梯子が引っ張り出されて入れるようになった。
2人について行く形でケイは謎の船に乗り込んだ。
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