気の利く彼氏
金曜日。1週間の疲れとストレスが溜まりまくって、今日は絶対帰ったらビール飲んでやるー!と思いながら1日何とか乗り切り、定時退社。颯爽と会社を後にし、彼氏の家へと向かった。疲れ切った身体に1時間の運転はなかなかこたえるが、そんなことは気にしてられない。家で休む暇があったら早く彼氏に会ってゆっくりしたい。帰宅ラッシュの時間でどこも道路は混んでいるが、できるだけ空いている道を選び彼の家を目指す。帰ったらビールが待っている。…まあ、冷やしてはいないけど。まだ今の時期寒いし大丈夫だろう。おつまみもないけど、生憎もう買って帰るという気力は残されていない。今日はあるもので我慢しよう。
やっとのことで彼の家にたどり着き、部屋に入るなり私はソファーに倒れ込んだ。
「あー、疲れた。もう無理。何もしたくない…」
ただただ放心状態で天井を見つめる。本当に今週は疲れた。上司のせいで色々ストレスも溜まったし。本当にしんどかった。お風呂に行きたいけど動くのがだるい…でも早くお風呂入ってビール飲みたい。
「今日は絶対にビール飲むんだ~」
ソファーに寝っ転がりながら呟くように言う。今日1日を乗り切るために何度も心の中で唱えていた魔法の言葉。それを聞いて彼が言った。
「そう言うと思って、ビール冷やしといたよ」
…いやいやいやいや、待ってくれ。最高過ぎん?私の彼氏、流石すぎなんだが。よくわかっているじゃないか。
「え~本当ありがとう。流石、私のことよくわかってるね」
「それだけじゃありません」
え、何まだあるの?きょとんとしていると、彼はニヤニヤして言う。
「なんと、お刺身買ってあります」
「え~!何で!?すご!流石すぎるんだけど!完璧じゃん!私の彼氏やば。凄すぎる」
「ま、お刺身は俺が食べたかっただけなんだけどね!」
いやいやいやいや、にしてもですよ。はぁ~本当に最高の彼氏がいて私は幸せ者だ。
こういう私の為に考えてやってくれる一つ一つのことが嬉しくてたまらない。こういうところで愛を感じるよね。私のことを思って行動してくれるっていうのがさ。生理の時だと貧血になるからって、鉄分入りの飲むヨーグルト買ってきてくれるし。本当に優しい彼氏です。最高です。
よし、それじゃあせっかく彼が準備してくれたんだから、さっさとお風呂に入ってビールを飲もう。あー、キンキンに冷えたビールに美味しいお刺身。最高過ぎなんだけど。想像しただけで幸せ。
それでは皆さん、1週間お疲れさまでした。
年下彼氏との日常 神崎 紗奈 @kanzaki_03s
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