第4話つまるところ、それはただの近未来④
「能力の開放に加えて、今度は今までやったこともない能力テストか。」
「急にどうしたんだろうねえ。」
真希と二人で真白は、指定された試験会場へと向かった。
ええっと。種目は、、ふむ。自分の持っている能力の種類によって、変わるようだ。いままで、能力については何も解析されていなかったのだが政府が本腰を入れたらしい。
「私は、、、多分身体能力が強化される能力のタイプαね。」
「俺は、多分タイプεだな。」
どうやら、かなりの数に分かれているらしかった。
「「じゃあ。」」
真白は、タイプεの試験会場についた。周りには、自分と同じ背丈ぐらいの生徒たちがたくさんいる。もしかして、体格で仕分けされたのか?とも思ったがさすがにそうではないだろう。だとしたら、、、
「こほん!!!!」
その場所にやってきた試験官という名札をぶら下げているAIが咳ばらいを、正確にはAIは咳ばらいをするはずがないのでそのまねであるが、した。
「諸君は、タイプεの能力をもっているという認識でいいと思う。他のタイプの能力、またはそもそも能力をもっていない生徒はいるか?」
皆、周りを見回している。誰もいないようだ。
「では、ついてこい。」
そう連れられてきたのは、砂場付きの運動場であった。
「まず、能力がほとんど自分の身体能力に影響がないといっても、もしかしたら影響があるかもしれません。ここでは、20mシャトルランをやってもらいます。」
げ。俺は運動は苦手なんだ。どうにかしてさぼれないのだろうか。
周りを見ても、はじめの方とはくらべものにならないくらい重い空気が漂っている。みんな揃って、いやそうだ。
「3,2,1,タタン。ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・てててん。・・・・・・・」
地獄の時間が始まった。大体、今の時代力仕事はロボットがやってくれるというのに、なぜ学生だけこんな地獄みたいなことをしないといけないのだろうか。
「8。」
はっはっは。もう息が切れている。体が重い。
「おいおい、タイプεって身体能力にほぼ関係ないとは言っていたが、、、そもそもの体の問題じゃないのか?」
ごもっともだが、走っている途中に言われると気が散るのでやめてほしい。
そもそも、この時代の20mシャトルランの平均が60回というのがおかしいのだ。60回とか、宇宙人か?今の時代にそんなゴリラみたいな身体はいらねえよ。70年前の平均とほとんど変わらねえじゃねえか。
「20。」
その声が聞こえてきたとき、さっきから明らかに遅れていた生徒がついにあきらめた。
周りの生徒も、それを見て続々と諦めていく。
「30。」
俺も、その声を聞いてすぐにあきらめた。
「なるほど、皆さんの体力のほどはよくわかりました。」
試験官は少し半笑いをしているようだ。腹立つ。
「次は、反復横跳びをしようかとおもいましたが、、、できます?皆さん。」
もっと腹立つ。やりますけど。
結局、そのあと反復横跳び。もちろん、平均以下だった。シャトルランの後にあるのが悪いんだ。50m走。これは、ノーコメント。長座体前屈。これは平均超えた。得意なんだ。握力。カス。多分、小学生にもまけてる。
「えー。体力測定にあるほとんどの種目を測定のためにやってもらいましたが、、、これからが本番です。」
AIは、いつの間にかタブレット端末を持っている。
「では、一人ずつ前に出て。様々な物質で物を生成してください。一応、基準としてはなるべく大きく、精巧なものが評価されます。」
番号順に一人が進み出る。
「ふっん!!!!!!」
彼は、土を使って大きいクモの置物を作った。
「クモ、、、、、ですか。ありがとうございました。」
何故クモなのか、みんな思っていたそのつっこみはAIが対応してないようだ。
みんな、大体動物の置物を作っている。俺はどうしようか。面白いもの面白いもの、、、、そうだ!!!!!
俺の番になった。俺は、精巧なものを作るために長い時間、イメージを頭の中で作る。
「どうしました?早く作ってほしいのですが。」
集中して、いまだ!!!!俺は、土に対して、ぐっと引き寄せられるように感じた。頭が痛くなる。
ただ、物が出てきた瞬間周りの生徒たちは爆笑した。俺が作ったのは、試験官が全くできそうにない、長座体前屈を滑稽にやろうとしている像であった。これで、試験中の留飲も下がるというものだ。
真希はテストが終わった後、試験官に呼び出されていた。何故だろうか?理由は言われなかった。ただ、来てほしいとだけ言われ待合室のような場所で待たされ続けているだけであった。
立ち幅跳びで、飛びすぎて砂が周りの生徒及び試験官の目に入ってしまった件だろうか。いや、これは不可抗力だろう。仕方ない。じゃあ、20mシャトルランで終わる気配がなかった件だろうか。これは、多分500以上を用意してなかったあちら側に責任があると思うのだが。他には、、、、
「会議室へ案内します。入りなさい。」
と、さっそくその時が来てしまったようだ。覚悟を決めて部屋へと入る。
「お、真希。」
部屋に真白がいることで一安心をする。が、ほかには見覚えのないメンツが部屋にはたくさんいた。
「よし、全員揃ったようだね。」
その中心、上座にいる紳士がそう発言した。
「君たちには、これから学生自警団に入ってもらいたい。」
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