第3話つまるところ、それはただの近未来③

能力を持っている生徒が一瞬で紫のイノシシを倒す、それは異常な光景であった。その光景は、もちろん町のカメラにも映っており、京都の政府中心部へと伝わった。

「能力は、こんなに強いのか。」

「反逆などされたらひとたまりもないな。」

「AIはその可能性は低いといっている。大丈夫だろう。」

「AIに頼りすぎるのはよくないだろう。」

「しかし、何だ。今だAIの報告によると増加している魔物の討伐に向かわしては、、、、」

そして、再び起こる動揺。

「そんな危険な場所に、学生を向かわせられるか!!!」

「学生なんだから、本業は勉強のはずだろ。」

「能力でさえ仕組みが全くわかっていないのに。」

との意見もあれば、

「確かにこんなに圧倒的であれば、、あるいは。」

「お金は浮くなあ。」

「AIの意見が聞きたい。」

議論に議論を重ね、評決をとってみたところ、完全な同数。よって、結論はAIにたくされることとなった。


しかし、政府も勝手だよなあ。テストとはいえ、急に能力使用を「完全に」解禁するとは。今まで、公共の場では使用禁止になっており(そのルールはほとんど形骸化しているが)、隠れて使っていたのだが。

「動物が凶暴化してるんだっけ。」

「そう、だから私たちは、町中で火を出したり、いろんなことを堂々とできるってわけ。」

「ただ、動物を倒さなくちゃいけないとかではないんだよな。」

「そう、強制はされていない。倒してもいいけど。」


「で?目の前にいる熊から早く逃げた方がいいと思うか?」

「さあ。皮膚が紫っぽくなってるから、凶暴化しているんだろうけど。」

おそらく、目の前100mぐらいにロボットと戦っている?(一方的に殴っているだけだが。)熊。紫色の体表が、町の中でさらに目立っている。

「ロボットだし、別にやられても大丈夫だろ。AIのように意志はないようだし。増援も来ると思うし、早いとこ、ここから離れようぜ。」

「う、うん。でも、、、それでも可哀そうだよ。うん。私なら、勝てるはず。」

その言葉を言った直後、彼女は、もう追いつけれないようなスピードで熊に向かって思いっきり走りだしていった。能力はもう使っているようだ。

ロボットに夢中になっている熊に向かって、彼女が突進していく。というか、まずくないか?彼女のパワーには、人間としてかなうものはいないと思うが凶暴化したクマかなうかどうかはわからない。

「ちょ、ちょっと。待てよ。」

それでも彼女は止まらなかった。熊が彼女に気づく。

「はっ!!!!」

彼女の、こぶしが熊の腹にそのままめり込む。すぐに能力を使えるようにはしていたのだが、心配いらないかもしれない。

「え?」

ただ、熊は倒れない。素早く、体を回転させて彼女を襲おうとする。

「ほら、こうなった。」

いそいで、自分の能力を発動させた。

「ウオール!!!!!!」

瞬時に、彼女と熊の間に土の壁を出現させる。

「ナイス!!」

その間に、真希は自分の体をすぐに熊から離した。そして、熊の後ろへと回りこむ。

「今度こそ!!!」

彼女の回し蹴りが熊の脳天に突き刺さった。


その後、熊はすぐにロボットへと引き渡した。ただ、熊を殺したからって、何ということはない。別に、これまでの生活は変わることはないと思う。いや、思っていた。ここまでは。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

某京都会議所

「まずは、テストの結果について報告いたします。」

老若男女の参加者たちは、自分の資料に目を通す。

「では、よかった点から。それは、かなりの経費削減になったという点です。凶暴化した動物によってかなりの損害額が予想されていましたが、テストをしなかった場合の想定の千分の一の被害額で済みました。」

「他にも、電車の混雑が減った、などとメリットはありましたが割愛させていただきます。」

「悪い点について。これに関しては、従来予想していたもの以外にも出てきております。一つ目は、無謀に動物に挑む学生が増えたこと。彼らの能力では抗いようもないのに、無理に戦おうとする生徒が多いのです。このようなケースで重傷を負う生徒も増えております。」

「二つ目は、生徒たちの暴徒化、といっていまうと言いすぎなのですが。そのような現象が次々と起きております。小さいものでは、おやじ狩りのようなものの増加から、大きいものでは政府への反乱組織が作られようとしたこともありました。正直、私はこの結果を見て、デメリットの方が大きいと思います。」

そして、報告は終了した。


その報告を受けて、政府は日本を大きく変えることとなったある決定を下す。

其れすなわち、「学生自警団」の設立である!!!!!!!!!!!!!























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