Episode 2-1 西の森の奥で
小島が転移する数日前
西の森の奥・・・街道から離れた名もない丘を根城とする盗賊団「ラドロー」のアジト
盗賊団がアジトにしている洞窟・・・そのボスの席に、藤井はア○アンマンに似た銀色の鎧を着たまま座っていた。
足元には、元ボスだった生首が転がっている。
藤井は西の森に逃げ込んだあと偶然アジトを発見し、部下を格闘技のみで数人捩じ伏せ、ボスと剣での一騎討ちを申し込んだ。
「ラドロー」のボスだったその男は、騎士団崩れだったため、かつてのプライドをくすぐられその心意気やよしと応じた。
藤井の初撃は横薙ぎに首を狙う大味な斬撃だった。「ラドロー」の元ボスは、自慢の魔剣でそれを受け・・・魔剣ごと横薙ぎに首を斬られてしまった。
こうして盗賊団を我が物とした藤井は、生首を足蹴にしながら盗賊団の手下・・・全部で20人ほどの男達を集めた。
「先ずは飯と酒だな」
藤井は餓えていた。
逃げた時食糧も水も持っていなかったが、森に逃げ込んだならレンジャー課程を余裕で完了した自分ならどうにでもなると高を括っていた。
が。
植生も生態系も全く違う環境のため、自身の知識が通用しないのだ。
川の上流を辿り湧き水を飲むまではまだ順調だったと言っていい。
美味しそうな果実がなっていても、齧ると酷い味でとても食べられない。
たまに襲ってくる魔物は簡単に倒せる上に攻撃はほぼ無効と言えるほどの防御力はあるが、弱い魔物だと魔石を取り出して補充しても燃費が釣り合わない。
藤井は腹を満たし、蒸留酒を呷ると
「とりあえず、ここに魔石をあるだけ出せ」
集められた20個ほどの魔石を手に取ると胸の魔力炉に魔石を当てる・・・
魔力の蓄積を告げるシステム音声が藤井にだけ聞こえ、残量が半分程であることを告げる。
魔力を失った魔石はただの石になる。
手下は顔を見合わせた。盗賊団の武装では魔物を狩るのは非常に苦労するのだ。売ればそれなりの金にはなるが、森で自活する盗賊団は生活用の魔道具を稼働させなければ生活出来ない。
おそるおそるそのことを伝えると・・・
「ないなら奪えばいいだろ?」
藤井は笑いながら言った。
「全員武装して集まれ!お前らに狩りを教えてやる!」
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