Episode1-5 昼行灯 風前の灯火
小島は投擲された槍を回避する最良の方法を実行した・・・即ち、素早くノインの後ろに隠れた。
味方である上に一応王の子であるため攻撃されないと判断してのことだ・・・しかし、近衛兵は、逃げ場を無くす為広範囲に槍を投擲し、その範囲にはノインが入っていた。3本の槍が命中する軌道でノインに向かう・・・が、槍は命中する寸前、不自然な軌道で曲がり、大理石の床に刺さっている・・・恐ろしいまでの威力だ。
「流石・・・瞬時に一番安全な場所を見切るとは」
「ってかお姫様ごと殺す気かよお前ら!」
「・・・この程度は魔法で回避するのは容易い事なのだが・・・魔力障壁を張らずに理力のみで軌道を曲げるとは、腕を上げたなノイン・・・」
「お褒めいただきありがとうございますアイン様・・・障壁を展開すると槍が壊れてしまいますので・・・」
「腕試しはそのへんでよかろう・・・」
王様は満足げに微笑むと、衛兵を下がらせた。
「さてコジマ殿・・・貴殿がなぜそのような実力を隠しているかはさておき、無事に帰りたければ任務を完遂する他はない・・・その気になれば回避不能な魔法攻撃で消し炭にすることも出来たのだからな・・・」
大魔導師アインは魔法で右手の上に小さな炎の竜巻を作って見せた・・・あれを撃てるのなら躱すのは容易ではなさそうだ。
「解った・・・降参だ・・・」
小島は両手を上げてうなだれた。
「しかし王様さんよぅ・・・」
衛兵が全員抜刀したが、王様は無言で制した。
「無礼を承知で申し上げますけど?こちとら着の身着のまま、そうびはぬののふく、だ・・・おまけに剣も魔法もド素人のレベル1ときた・・・まさかひのきのぼうと小銭を渡して放り出すんじゃないんだよな?」
至極真っ当な抗議を皮肉を含んで言うと、王様は笑みを浮かべて応えた。
「それについてはな・・・アイン、よきに計らえ」
「仰せのままに・・・」
大魔導師アインはノインと小島を連れ謁見の間を出ると、応接室のような部屋に入った。
そこには、大小さまざまな大きさの箱が大きなテーブルに並べて置かれていた・・・その脇には、筋肉隆々とした背の低い髭男が待っていた。
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