第17話 見えざる真実
一行への侵入に成功したスイはシャルルが町へ来る度について回り どんなに些細なことでもシャルルが民を助けるよう誘導した
ちょうど一月経った頃には 町でシャルル一行の悪評を聞くことはなくなった
一方でシャルル本人は なぜか日を追う毎に頬がやつれ 目には不安と怯えが見えるようになった
スイはシャルルのその変化が自分の予想していたものと違っていて 胸騒ぎを覚えた
スイは今日もシャルル一行について回っている
スイはシャルルの様子がおかしくなったことを聞こうと声をかけた
「あの シャルル様」
そうするとシャルルは「ヒッ」という恐怖にひきつり上擦った声をあげた
取り巻きも「シャルル様!」と心配そうな声をかけ シャルルを取り囲んだ
途端シャルルは両手で自分の体を抱いてストンとへたり込んだ
「もう やめてくれ」
シャルルは今にも消え入りそうな声でそう呟く
「シャルル 様?」
スイがそう問いかけると
シャルルは力なく問い返した
「貴様は 一体なぜわたしにつきまとう?」
「理由を教えてくれ 本当の目的はなんだ」
スイはその問いかけに少し間をおいて
「シャルル様の助けになれればと」
そう言った
「わたしの 助けになりたいから?」
シャルルはうずくまったまま不気味な笑い声をあげる
「ふふ ふふふ わたしに人を助けさせ 民から慕われるよう仕向けることが わたしを助けると?」
「ふざけるなよ!!」
シャルルは勢いよく立ち上がりスイの胸ぐらを乱暴に掴みあげた
「貴様にわたしのなにが分かる!!わたしが置かれている立場!状況!!どれほど知ってると!言うんだ!!」
力一杯揺さぶられるも スイはシャルルの怒りがどこを向いているのか分からなかった
荒く深い呼吸をしているシャルルは急に胸を抑え咳き込んだ
「シャルル様!」
その様子を見て 取り巻きがシャルルを心配そうに支える
「シャルル様 今日はもうお屋敷に戻られた方が」
息を整え シャルルは取り巻きの支えを振りほどく
「お前たちはもう帰れ わたしはコイツに話がある」
「しかし そういう訳には」
「いいから消えろ!!」
そう怒鳴られ 取り巻き達は戸惑いながらも姿を消した
暫くして 取り巻きの気配が消えると シャルルはスイを睨み付けながら話した
「貴様 わたしの助けになると言ったな」
「は はい!」
「よかろう ならば貴様に真実を見せてやる 貴様ごときに見えようもない真実をな」
そう言うとシャルルはスイに背を向けた
「場所を変える 貴様の住処へ案内しろ」
そう言われ スイはシャルルの前へ立ち 歩き出した
スイは自分の家へシャルルを通すと 静かに扉を閉めた
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