第7話 少女の生い立ち
わたしは町から少し離れた小さな家でママと暮らしていた
パパは時々顔を見せてくれるけど ママを叩いてお金を置いていくだけで何もしてくれないから嫌いだ
ママはパパに叩かれた後泣いてわたしを叩く
きっと凄く悲しいんだと思う
だってパパとママは好き同士だったから結婚してわたしを産んだんでしょ?
だからパパに叩かれて悲しくて やりきれない気持ちをわたしにぶつけるんだ
ママが可哀想だからわたしは叩かれても笑うよ
わたしはママが好き
だってこの世界でわたしが知っているのは一緒に居てくれるママと嫌いなパパだけだもの
ママは一緒に居てくれるから 好き
ママ わたし6歳になったよ
こんなに大きなお花の冠作れるようになったよ
今日お花摘んでたら男の子に会ったよ
ママ ママ ママ
わたし大丈夫だよ
ママがいつもお仕事忙しくて夜しか帰ってこれないこと知ってるから
だから6歳のお祝いも一人で出来るよ
ママのためにママの冠も作るよ
ママ!ママ!ママ!
不安だよ!お腹空いたよ!怖いよ!
でもママは絶対帰ってきてご飯食べさせてくれるから好き
きっと帰ってきてくれるから
好き
好きだよ
だから帰ってきて
なんでもするよ
いい子で居るよ
ママ
足音が聞こえる
ママ!
ママが帰ってきた!
ガチャリ
、、、だれ?
ママがパパと違う男の人と一緒に居る
ママはパパみたく叩かれずにお金を貰ってる
きっとパパより好きな人が出来たんだね
わたしはママに向かって走り出した
ママ!
ママに抱き締めて貰いたかった
でもママに手が届く前に男の人に抱かれた
え?どういうこと?
ママはわたしを見下して静かに扉を閉めた
ママ!やだよ!ママ!?
男の人が わたしに触ってくる
気持ち悪いよ!臭いよ!痛いよ!
ママ!
助けて!ママ!!
男の人が帰ったあと
テーブルにはパンが置いてあった
わたしはお腹が空いているのにパンを食べる気にならなかった
ママはまたどこかへ行ってしまった
その夜は怖くて眠れなかった
何度も吐いた
誰も居ない家でわたしは泣いた
次の日も
また次の日も男の人はやってきて
わたしをお人形のように好きにした
ママは居なくなった
パパは嫌い
わたしは?
わたしはどこにいるだろう
わからなくなった
狭い世界の小さな家に
誰も居なくなった
逃げようとは思わなかった
大好きなママと居た世界だから
どれくらい月日がたったのだろう
わたしは泣かなくなった
なにも感じなくなった
食べ物は食べた
飲み物は飲んだ
でも わたしは居なくなった
その内に男は何も反応を示さなくなったわたしに痛みを与えるようになった
ナイフで色んなところを切られた刺された
もうパンを手に取ることも出来なかった
全てがじきに終わるんだと思った
ふと窓の外を見ると
男の子がこっちを見て手を振ってた
変な石ころを自慢気に掲げて笑ってた
わたしは這うように外へ出た
そんなわたしを見て
男の子は誰かを呼んだ
「大変!どうしたの?!」
ママより年上の女の人の声
「わかんない!ばあちゃん助けて!」
「今すぐお家に運んで治療するわ!スイあなたも手伝ってちょうだい!」
「いっつもお花摘んでた僕の友達なんだ!絶対助けるんだ!」
朧気に聞こえてきた会話
わたしが戻ってくるのを感じた
「死にたくない 死にたくない!」
わたしは最後にそう叫んで気を失った
気がついたとき
わたしはベッドで横になり男の子に手を握られていた
男の子は眠っている
「気がついたんだね」
優しい女の人の声
「あなた 名前は?」
わたしの名前 なんだっけ
いっつもお花摘んでた僕の友達なんだ!
その言葉が唐突にわたしの脳裏をよぎった
「ハナ」
「わたしは ハナ」
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