kanon

16話 ごきんじょつきあい

ホームルームを無事（？）終了させ、配布物やプリントを受け取っていると前の席の女子が話しかけてきた。

「ねね、委員長くんとふかみくん？はどういう関係なの？あ、私堀田 碧！ホッタでもアオイでもいいよ！」

「俺らの関係？そうだな……話せば長k」

「腐れ縁だね」

一言で誠二を切り捨てる。

「ひっでぇ！俺はお前のことずっと親友だと思ってたのに！」

「はいはいシンユーシンユー」

「後でお前体育館裏な」

「告白でもすんのか？彼女居るのに」

「そうそう、お前のことが好きでした……ってアホか」

「そこ！イチャイチャしないの！」

幼なじみのじゃれ合いを中断させるべく小動物、もとい千恵が声を上げる。

「ごめんね、あおちゃん」

恐ろしいコミュ力で距離を詰める姿に軽く感動すら覚えていたところ、

「いいのいいの、ちーちゃんも2人と仲良いんでしょ？詳しく2人のこと聞かせてよ」

目には目をコミュ力にはコミュ力を

恐ろしいハンムラビ法典が垣間見えてしまった。

「僕達は幼稚園からずっと一緒で」

「ちぃは中1からだな」

「初めて会った頃の真白くん相当病んでたよね」

「そうなの！？以外！」

パンドラの箱が開きかけた

「あまり詮索はしないでやってくれないか？これでもこいつ繊細なんだよ。何も考えてないようで周りのことを1番に考えてるんだ」

「やめろ恥ずかしい…」

「お前はお前のこともうちょい考えような」

「お前は全てのこともうちょい考えような」

あーでもないこうでもないと話していたら、気がつけば教室には西日が差していた。

「……」

「ん？あおちゃんどうかした？」

「思春期男子、それなりに顔立ちが整っている…ズバリ！灯夜くんにカノジョは居ないのかぃ？」

「あー………」

誠二の目が泳ぎ、何かを察した様子の碧はすぐさま深々と頭を下げた

「多分私聞いちゃいけないコト聞いたんだと思う！ほんとごめんね！今度クッキー焼いてくるからそれで許して！」

「あ、別に……うん、堀田さんなら人の心の解る良い陽キャだと思う……から、まぁ…大丈夫。」

少し深呼吸してから説明を始める。

「僕さ、好きな人は居るんだよ…でも、その人ね、もう居ないんだ。この世に」

自然と涙が溢れて来た。

教室に差す西日は深く、深く赤みを増していた。