15話 がっきゅういいん

話を聞き流していたから困惑していたが、どうやら男子が学級委員長になる運命にあるらしい。

「…じゃあ、これから各委員会を決めていくけど…深海誠二、お前は体育委員だ。拒否権はない。」

「なんで拒否権ないんだよ!やるけどさ!」

「お前は僕を勝手に学級委員にしただろ。あと承諾たすかる。」


学級委員長というとくに強くもない権力を振りかざし、体育委員の枠をひとつ埋める。

「残りは自主的にやりたい委員会のある人居れば優先して枠埋めして行きます。やりたいのある人〜?」


10数分ほどかかり全ての枠を埋める。


「やっと埋まった…皆さんの協力感謝します。」

クラスメイト全体に無言の笑顔で圧を掛けておく。


「ふぃ〜眼福でしたぁ〜…お、ちゃんと委員会の枠をひとつ残さず埋めてますねぇ、良き良き」

とてもホクホクした様子でそれぞれの委員会の用紙を受け取る先生に無性にイラッと来てしまったが、やんわりと怒りを隠す。


「次からは内容の指示をお願いしますね?」

「いやはや、時間に追われてましたので…あ、いや、あの……ごめんなさいです」

ニッコリと満面の笑みで応えてやると、許しを得たと思われる先生がいつもの調子になる。


「とりあえず今日のお仕事は全部してもらったので今日は解散になりますぅ〜学級委員の2人にはこれからもちょこちょこお仕事頼むと思いまーす」

「頑張りましょうか。真白くん。」


頑張るしかないようだ。

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