13話 つうがくろ
《ピンポーン》
突然家中にインターホンの呼出音が響く。
その音に目を覚ました僕は、意識のはっきりしないまま玄関へ向かう。
「おっす、灯夜なかなかお疲れだと思ったから迎えに来たぞ。」
二っとわらう誠二を見て、意識が現世に戻る。
「いま…何時」
「ん?7:00ちょい手前だな。遅刻すっとダメだし早めに迎えに来た」
「朝食は…?」
「まぁ…その、10秒でチャージしてきた!」
「ダメだ。食え。」
僕のために自分の食事を削るのは虫の居所が悪い。
着替える必要があるため、時間がかかることを隠れ蓑に、誠二に即席の朝食を食べさせる。
「これ食べといて。僕は着替えてくる。」
「お前の朝飯はどうすんだよ。」
「食べるから、食べるからほっといてくれ」
奏音がスヤスヤと寝ているため、物音を立てないように着替える。
ワイシャツのボタンを閉め、スラックスに脚を通してベルトを締めたところで奏音がモゾモゾと動き出した。
「あぶな……」
危うく奏音のグーが飛んでくる所だった。
「一応メモは残しておくか…」
学校行ってくる。誰もいない時間なら自由にしてていいけど多分お姉居るから静かにしておいてほしい。あと、お腹減ったら引き出しにお菓子あるからそれで気を紛らわして。
と、書き置きを残し自室を出る。
「ごめん、お待たせ。」
「おせーよ、完食したじゃねぇか」
満足そうに笑う誠二を見て安心する。
「ちょっと待ってて、僕も軽く済ませる。」
大して残された時間もなく、牛乳でトーストだけを流し込んで家を後にする。
【7:24】
ちょっと早かったかもしれないが早く着く分には問題はない。
学校に着くまで誠二と無駄話をしたり、千恵を迎えに行ったりと、学校生活をスタートさせていく。
「あ、おはようございます。浅川さん、真白くん、深海くん。」
「あぁ……っと……」
「里仲さんね、里仲 紫織さん。」
「おぅ!忘れてた訳じゃないけど灯夜ナイス!」
「せーじ忘れてたの?」
「あ…ぃゃ…」
勢いがどんどんと削がれていく誠二が新鮮に見えて、普段イジられる分を仕返ししたくなったが我慢した。
「あ、私のことは紫織で結構ですよ?」
「じゃあ私のことは、ちえかちぃでいいよ!」
女子がワイワイしているのを誠二は幸せそうに眺めていた。
「お前こういう景色好きだよな。」
「昨日の夕食より好きだな。」
「あ、そういえばしおりんと真白くんとせーじは委員会とかどうするの?」
今日決めないといけないことを思い出した。
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