3話 にゅうがくしき(中編)
「あーーー!」
耳を切り裂くような千恵の声が響き、指差す方向を見てみると、1-3に灯夜、誠二、千恵の名があった。今年度は運良く3人固まれたようだ。
「予想が外れたか」
まったく反省していない様子の誠二に
「じゃあパピコ、僕と浅川に。」
と釘を刺しておいた。
深海、浅川の凸凹カップルをよそ目に式会場となる体育館へ足を運んだ。
長ったらしく有難い校長先生のお話や祝辞を耐え抜き、1-3の教室に向かう。
席が五十音順なため、僕と誠二は隣同士になったのだが、千恵が1番端っこの1番前になってしまった。
中一の頃からの宿命とも言える。
「ぶー…」と項垂れる千恵を颯爽とスマホで撮ろうとした誠二を全力で止める僕は簡単に振り切られてしまった。
「せーじの隣か前後がい〜い」
「来月まで耐えような、ちぃ」
同じ中学出身者が入学式に固まるのは珍しことではない。それにカップルだって同じ高校に進むのも有り得る。だが、この2人のいちゃつき方は異様だった。それでもコミュ力お化けの2人は順調に友達を増やしているようだった。
スタートラインに立つことをやめ、日陰で休んでいる僕を2人は手招きしている。
自動的に並走することになることを僕は知っていた。
クラスにいくつかのグループが形成されつつある時に扉が開かれた。
「みなさーん、おはようございまぁす♡」
なかなかの強キャラがやってきた。
「このクラスの担任をさせていただく紅月 香蓮ですっ!コウヅキ先生でもいいけど…カレン先生って呼んでくださいねっ♡」
やはり強キャラだった。
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