第11話

「一方的な約束だったのに」

 来てくれて嬉しいです、と涼花さんは頬に手を添えて窓を見やる。

「部活来週からになったから。今週はずっとこの時間なんだけど」

「わあ、じゃあ今週はいっぱい恭介さんと話せるんですね!」

 そんな笑顔で言わないでくれ。心臓がもたない。

「恭介さん、部活何やってるんですか?」

「軽音。餡蜜ってバンドなんだけどドラムやってる」

「ドラム!?かっこいい!」

 涼花さんは素直に褒めてくれるからこちらも困る。

「来週からっていうのはどういう……?」

「あー、年明けすぐのライブの計画立てたいんだけどベースの奴が今週いっぱい補習でさ。来週からって話になったんだ」

「結構緩いんですね」

「まあな。涼花さんは?部活何やってんの?」

「私は図書局です。放課後は残っても自習するくらいしかやること無いんですよ」

 俺たちの他愛のない話は、秋の夕闇に溶け込んでいく。

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