第14話月曜日?

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ


「ふおおお!?」


目が覚めた。

時計を見て、ぼーっとした頭で起き上がる

今日の寝覚めは悪くない

良く寝たなあ


昨日の事を思い出して、にへらっと顔が緩む


顔を洗って、簡単に化粧したら即アパートを出る


家の鍵をカチリとかけて


また顔が緩んだ


通勤中もずっとこの土日を思い出して笑いながら運転していた


多分、私今かなり気持ち悪いやつになってる

でも構わないんだー


なんと言うのか、私は幸せだーってなってる


会社に着いて、事務所で仕事をしていてもにやにやしていたのか


「みゆちゃん、なんかいい事あったの?今日ずっと笑顔ね?」


「あれ?そうですかー?」


さすかに仕事中はにやにやしてないと思ってたのに


「あとなんか美人さんになってる気がするよ、男できた?」


「えっ、あ、いや、まだ」


うおおお!顔が熱い?!


「おっと、マジだったの?いいなあ」


「あはは、ちょっといいなあって思う人がいるだけですよ」


「そうなの?えー、どんなひと?うちの社員?」


そこから暫く同じ事務員である佐藤さんからの質問攻めが続くのだった


しかし、出会って一週間で惚れるとか私はちょろ過ぎるんじゃなかろうか?

でもまあ時間は関係ないんだよねえ……


ほら、アニメとかも一気見して兵長に惚れた事例もあるし。あれなんて連休3日で惚れてたもん。


お昼休みになって、スマホを見る


あ、やべ、昨日返事返してなかった

私はさくさくと思った事をスマホに打ち込んで送信する


「昨日はどうもありがとうございました!めっちゃ癒されましたよー。あれは癖になりますね!朝からお風呂、最高です!しかもお昼ご飯も美味しかったー昨日は帰ったらすぐ寝ちゃってました」


ほんとはすぐ寝てなかったけど、ちょっと言い訳。寝落ちしてたのは事実だし


そこからしばらく返信を待つも、一向に返事が来なかった……



午後の仕事は午前中と違って憂鬱だった


「あら、なんかあったの?フラれたわけじゃないよね?」


そんなことを言われるくらいに顔に出ていたっぽい


仕事が終わっても、まだメッセージは返ってきてない


スマホを見ながらちょっと涙ぐむ


普段の私ならきっとキレて返事だせえ!って言うとか

そもそもこんなには気にしてないから返事なくてもどうも思わないとかなのに


なんというか、不安で、寂しい


仕事帰り、私は岡田さんがいるかもしれないとゲーセンに向かう


店に着くなり、彼を探し始めて…


見つけた!


私は駆けだす、岡田さんの、彼の背中を目掛けて抱き着いた


大きい!あったかい!


「だーれだ!」


私だよーーー!


すると岡田さんは


「みゆさん」


そう、私!


「おお!正解!簡単でした?」


「そりゃぁね」


私は離れる前にぎゅっとしてから、離れる


そんで思ったことを言う


「岡田さん、返信くださいよー。既読無視はダメなんですからね」


「え?あ、そっか、メッセージ。ごめんごめん。後で返そうと思ってたから」


「まぁお仕事忙しそうですもんね」


「うん。そう言えばどうしたの?何か他にも欲しいものがあった?」


「いえいえ、ここ帰る途中なので。で、岡田さんいるかなーと思って」


「え、マジで?」


「というか、車があったので寄ってみました!」


嘘だ、車なんて見てないけど。

いるかもしれないと思ったんだ


「今日は何か取るんですか?」


「ああ、うん。とりえあえず2000円くらいで適当に取ろうかなと。新しいものはないから、持ってないのかなぁと…何か欲しいのある?」


欲しいの?今は特にない・・けど、もっと話したい、一緒にいたい


「えーっと、あそこのやつ、取れます?」


ちょっと前に欲しかったけど、今本当に欲しいのは別のもの

だけどお願いする


先導して、岡田さんを連れて行く


「ちょっとやってみるか」


するとうまい具合に掴むクレーン

すごいなぁ、ものすごい繊細な操作だよね


「凄い!持ち上がった!」


「いや、持ち上がるのは普通なんだ。これで落ちない様に運んでくれれば…」


だけど掴みすぎて落ちてこない。挟まってる

あはは、何これ!


「すみません、これお願いします」


それで店員さんが来て、とって手渡してくれる


「落ちなくてもいいんですね」


「そそ、ここまで来てたらゲット判定になるんだよ。店によって違うかもしれないけどね」


「へえー」


「はいこれ。あげるよ」


「ええ!良いんですか!ありがとうございます!」


さっきまで結構どうでもよかった景品が、いきなり家宝みたいな感じに感じられる

今日はこれと一緒に寝る!


抱きしめて嬉しそうにしていると


「いいよいいよ、他にもある?」


そう言われた

今日はご機嫌ですか!?いつもささって帰っちゃってたのに!


「えーっと、じゃあお菓子とかどうですか?」


「お。食いしん坊ですな」


「えー!女子はみんなお菓子が好きなんですよ!」


「了解だ」


そうして、私はまた岡田さんとの…彼との「デート」を楽しんだ


いっぱいの景品は全部貰い物だ

今までこんなにプレゼントをもらったことがあっただろうか?


家に帰ってからも、その景品を眺めてにやにやする


お菓子を食べながら自撮りした


それを、岡田さんにお礼のメッセージとともに送信する


「今日もありがとうございましたー!お菓子美味しいですよぉー!」


そんな言葉を添えて


すると今度はすぐさま返信が返ってきた


「俺も楽しかったので、こっちこそありがとー。おやすみー」



おおお!早い、嬉しい!

あ、でも寝るんですねー。お疲れです


彼を気遣って、私は返信したい気持ちを抑えて今日の景品を整理する


土日にスマホで撮影してた写真を眺めて、その中に岡田さんの姿が写っている物を眺めてにやつく


だめだなあ、私…


自分がこんな人間だって知らなかった


なんていうか、漫画とかアニメのキャラにマジ惚れしたこともあるけど、というかそれが大半だったけど


好きになったら、ここまで胸が痛いのか


知らなかった…


もう、私のしたいことは決まってる


好きだから、付き合ってほしい。


出会ってまだ一週間だけど


貴方がいなくなるとか考えるだけで泣きそうになる


声が聴けないと思うだけで切なくなる


ずっと、ずっと一緒にいたいんです…


自分にこんな欲があるなんて、本当に知らなかった










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