第13話日曜日?
「よいしょっと、おはようございます!」
岡田さんの車に乗るのは、座席が少しだけ高いから背伸びして乗る
「おはよう」
岡田さん、今日も丸くて可愛いなー
丸くてとは本人には言わないけど
「あさ風呂ってどんなんですかねー楽しみです」
「行ったこと無いの?」
「ええ、昼とか夜に行ったことはありますけど、朝からっていうのはないんですよね。だから結構たのしみなんです、最近は全然行ってなかったですし」
まぁ友人が結婚してからというもの、遊ぶ相手もいなかったから
温泉一人でもいいんだけど、飽きちゃうってのはあるので、少しだけ見栄を張った
仕事が忙しくてと
実際は最近休みの日とかほんと暇だったんですよね
なので、少しだけ修正しとこうかな?
「へぇ前は家族と行ったの?」
「いえ、友達数人とですね。その頃は会社に仲のいい子が居たんですけど、結婚とかしたので一緒に行くことが無くなったんです」
「あーなるほどねぇ。わかる、わかるよ。俺も昔は友達数人と遊んでたけど、30超えたあたりからかなぁ、みんな家庭を持ってさ、だんだん一緒に遊びに行くことはなくなったかな。仲が悪くなったとか、そう言う事はないんだけどやっぱり家族を優先するようになるじゃん」
「そうですよねぇ。そういえば、岡田さんは結婚とかしないんですか?」
こんないいひと、普通結婚してると思う。けど、結婚してたら私なんかと遊びに行けないからねーしてないことに感謝する
「彼女すらいないのに?」
おっと、そうですよね。これは失言でしたか
「ああいえ、そういう願望とかないのかなと思って」
「そういう相手がもしも、万が一いたらねとは思うけどさ、無理じゃないかなぁ」
「みゆさんこそ結婚とかどうなの?願望とか」
おっと、リベンジされてしまいましたね…
「うーん。まず相手居ないですし、結婚したいとは思いますけど私なんかが結婚生活送れるとも思えないんですよねぇ‥」
なんていうか、私ってこう好き嫌いが激しいといいますか…
わがままなんですよね結構
岡田さんとはストレスなく居れてるってのがあるんですけどねー
そんな会話を楽しみながら温泉に向かう
この助手席は私のもんだぜーとか意味わかんないことを思いながら景色も楽しむ
「この道さ、冬場だと両方の木がね、雪とかで雪柱みたいになるんだよ。けっこう綺麗だから写真撮ってる人もいたりするんだよね」
「ええ、そうなんですか?見てみたいです!」
「あー、まぁあと半年後だね」
「そうですよねー」
「でもこの後は紅葉がはじまるよ。それはそれで結構綺麗みたいだよ」
「そういえばテレビとかでもやってますよね、紅葉シーズになると」
「ああ、やってるね。人が多いから俺はあんまり見ないんだけど、車から降りてそこの渓流に行ってる人とかいるなぁ」
「それも見てみたいですねー」
「あんまり見にいったりしないの?」
「だって原付ですもん、行動範囲狭いですよ、私。普段夜遊びに出たりもしないですし…何年かに一回くらい、同僚と県外旅行するくらいです」
その同僚も、もう一緒に行ってくれないだろうなぁ…子供生まれたし
温泉に着くと、その建物のにおい、湿気を多く含んだ木の匂いがふわりと香る
なんていうか、普段行かないところに来るとその場の匂いに少しにやつく
いい匂いだなぁ
発券機で支払うと、私にチケットをくれたのでお金を渡す
この人、なんですぐにお金を出そうとするんだろ・・・
そして入浴後の時間を決める
「40分後くらい?」
「じゃあそれで!」
まぁそれくらいでいいよねー
久々に温泉に入る
ここにはサウナはないらしい
だから40分後ってまぁ、ちょうどいいかな
湯船に使って、ふうーとため息をついた
昨日今日と、すごく楽しい
明日が月曜だという事がなければ完璧なのになぁと思う
体を洗って、お風呂にもう一度入ってから上がった
髪を乾かしているうちに、思ったよりも時間が経ってて慌てて外に出る
まだ居ない?
そう思うと、マッサージ機に座っている岡田さんが見えた
それを見て、なんだか幸せだな、と思ってしまう
なんなのか、変な私だ
趣味趣向が変わってきたのかな?
テーブルに座って、岡田さんのマッサージが終わるのを待つ
この時間も、嫌いじゃない
ゆっくりと椅子が動いて、マッサージが終わったようだ
すると岡田さんは慌ててこっちに来る
「あ、ごめん!待たせた?」
「あ、大丈夫ですよー。ほんとに今出たとこなので!マッサージ、気持ちよかったですか?」
「あー、気持ちよかったよ。もう習慣みたいなもんだけど」
「へえ、私あれ痛くて無理なんですよね」
「そりゃまだ若いから。いらんでしょ、マッサージ」
「あ、でも結構肩とか凝るんですよ」
「そうなんだ、揉もうか?……冗談だけど」
「え!うそ、冗談なんですか!かなり本気で揉んでほしいですよ……肩、ほんとに痛いので」
えーもんでくれないの?
けちだなーってそんなわけないけど
でもそんな私の顔に残念そうな感じがすごくでちゃってたみたい
「分かった、少し揉もう!ってかほんとにいいの?」
そう言ってくれたので
「ほんとにお願いします!」
私はすぐにお願いする
すると岡田さんが私の肩に手を置いて、そして揉んでくれる
手、暖かいなぁ…気持ちいい
「ああああ」
「変な声出てるよ」
「うううう」
「痛いとか?」
「いえ、さいこーです、そこですそこ、首の付け根と、肩のはしっこ……あああああ」
もーなにこれ、すごい気持ちい…永遠にお願いしたい
めっちゃ上手いじゃないですかー
するとちょっとして、終わってしまった
短いと思ったけど、結構肩が軽くなったのがわかる
「ありがとうございますー。んー、肩が少し楽になりました」
「そう?何か思って頼り全然柔らかかったからさ、凝ってる?ほんとに」
「え?そうですか?」
「うん、俺の肩と比べたらよく分かるよ。バカみたいに硬いよ、俺の肩」
そうなんだ、ちょっと揉んでみたい…硬いってどれくらい…
てゆーか何!?硬い!えええ!?柔らかそうなお肉なのに、めっちゃ硬い!
「うおお、ヤバいです、やばい硬さですよ!これ!何これ!」
「俺の肩ですが?」
あ、あかん!これは手が痛い!
「これ私なんかが、凝ってるとか言えないです」
「まあ、おっさんは、だいたい硬いんだよ……」
そうなんだ…新発見です、はい
そして、お昼ご飯を食べに行くことになった
それも大好きなお寿司です!
こんな幸せな日曜日は幸せで、私はずっと笑顔だったに違いない
もうめちゃくちゃ食べた!
でも岡田さんはもっと食べた!
なんか、いっぱい食べてる岡田さん、いいなぁ…
これ、好き、かもしれん。
私岡田さん好きなのかもしれん!
そう思いだすと、なんか顔の温度が上がった気がする
だめ、これちょっとマジです。
どうしよう…
そんなことを思っているうちに、いつの間にかお店を出て車に乗って、アパートに送り届けられていた
記憶が飛んでる。何話したかも覚えて居ない
これはダメだ、ちょっと、そう、こんな気持ちはほんと、ダメ…
胸が痛いんだけど…
家に帰ってからも、ずっと岡田さんの笑顔とか、声が頭に響いてくる
するとピロロとスマホが鳴って
「今日はお疲れ様、楽しかったです」
と、岡田さんからメッセージが来ているのをみて私は布団の上でごろごろと悶えてしまった
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