第3話 プレイヤーエントリー
「よっしゃあああ!!!!今回の補充、女の子結構居るじゃん!!」
少し離れた所から聞こえる、場違いな声に萌香は唖然とした。
(嘘……、まさか、また?)
「はあ?なんなん?意味不過ぎんだけど?何?ドッキリ?なんか変な格好のヤバい奴ら居んだけど?」
「おい!!!田中氏!!!これはまさかの異世界召喚と言う奴では?」
「お、おちおち、落ち着いてくれ、山本氏?きっとこれはテレビの企画かなんかだよ」
「オタクきも……」
「比奈?大丈夫?」
「う……、うん。平気だよ。ありがとう美咲ちゃん。」
いきなり教室の床が光ったと思えば、広い広場のような空間に萌香達は居た。萌香は瞬時にこれがなんなのかを悟って、顔が真っ青になった。
(っ……そんな、また?どうして私が……、でも、前とは違う?集団で喚ばれた?しかもクラスメイト以外にも人が沢山……)
萌香はこの状況に、もっと取り乱すかと思って居たのだが意外にもそんな事もなく、冷静に思考は出来て居た。
そして、気づく。
(これ……、ストレス耐性スキル?でも、そんなまさか……。)
確かめようとした時、辺りに怒鳴り声が響いた。萌香の思考も中断された。
「おい!!アンタら何なんだ?!ふざけた格好で、あれか?ネットのゆーちゅうーばーとか言う奴か?!」
広場は円形になって居て、その中心部に萌香達、そしてそれを囲むようにして、別の集団が居た。その者達は一様にコスプレの様な格好で、ニヤニヤしている。日本人だけじゃ無い。外国人に見える者も混じって居る。怒鳴ったのは、恰幅の良いおじさんだ。汗をかきながら奇妙な集団に、怒鳴り続けている。
(あれ……コスプレじゃ無い。)
奇妙なコスプレ集団、だがその纏って居る装備は本物だ。異世界で旅をして来た、萌香には分かるのだ。アレは本物で、ここは間違いなく元居た世界じゃ無いと。
おじさんに乗っかる形で、他の人達も声を荒げる。しかし、不意に静寂が訪れた。何故か全員が同時に黙った。
「そろそろだな……。」
奇妙な集団の一人が呟いた。その瞬間、萌香の頭に直接何かが入って来た。それは知らない筈の知識。それから酷い頭痛。ほんの少しフラつく萌香だったが、耐えることが出来た、だが他の人々は倒れたり、嘔吐したり、酷い有様だ。
(ゲーム?プレイヤーエントリー?………。【
◇◇◇◇◇◇
【ルール説明】
【ゲーム】にプレイヤーエントリーした者は、月に一度は必ず【
試練をクリアすれば難易度に合わせた報酬が支払われる。
ゲームクリアした者は、元の世界に帰れる。
ゲームクリア条件は【 】
以上。
此処に喚ばれた理由は、【ゲーム】をする為だと、理解した。いや、させられた。
(……、なるほど。神が見て楽しむ為に喚ばれたって事?ゲームクリア条件は不明……?クソゲーじゃん。)
謎の【神】がこの【神の箱庭】とか言う、閉鎖空間に、人を閉じ込めて試練を与えて、苦しんだり、楽しんだりする人間を観察する馬鹿げたゲーム。知らない筈なのに、そう、萌香は知っていた。説明の代わりか知らないが、頭に直接目的と知識をぶち込まれたらしい。だが肝心のゲームクリア条件は不明。はっきり言ってクソだ。クソゲーだ。
(………、でも、完全にクソゲーって訳でも無さそうかな………。ふーん、その方が楽しめるから?ねえ?神様)
萌香はニヤリと笑った。何故なら、勇者の力が戻って居るからだ。力を没収するでも無く、また萌香に与える所を見ると、かなり
周囲が騒いでいる中。萌香だけは、静かに佇んで居た。その顔に微かに笑みを浮かべて。
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