鳥籠の姫

 私はお姫様。お洒落な着物や、美味しい食事、欲しいものは何でも揃っています。困りごとなんて、今まで数回程度しかありませんでした。

 ですが、最近は悩みがあります。外に出たいのです。しかし、お父様はお許し頂けません。私が姫故だからでしょうか。窓から見える景色は美しいものばかりです。是非、見て、触れて、感じてみたいのに、お父様は「外の世界は下劣で危険ばかりだ」と仰って行かせてはくれませんでした。この話を私の側近のメイドにすると、「それは致し方ありません、姫。お父様は姫のことが心配なのですから」と言うのです。

 まるで私が飼っている一羽の鳥のようでした。その鳥は羽が虹のように美しく、空を舞う姿は、この世に二つとない感動すら与えてくれます。ですが、普段は鳥籠の中。外に出られるだけ、鳥の方がマシと言うもの。

 私は鳥に嫉妬しました。外を自由に飛べる鳥が、羨ましかったのです。いつも外を見ているこの鳥は、いつの日か空を羽ばたきたい、と思っていることでしょう。私は外に逃してやりました。勢いよく舞い、青い空へ消えていきました。やっとの思いだったからなのか、気持ちよさそうに羽ばたいていきました。



 もし私が鳥だったなら。私に羽があったなら、きっとあの鳥と同じように羽ばたいて空を舞っていったことでしょう。だって、あんなに気持ちよさそうに飛ぶものですから。ならば私も飛んでみよう、と試してみることにしました。

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