第2話「暗証番号」
まず目覚めた場所が東京のサキのアパートだったことに俺は驚き、慌てて彼女の姿を探した。
いくら探せどどこにもサキはおらず、しかし10分もしないで見つけた彼女は、洗面所の鏡の中にいた。
つまり、俺は彼女と入れ替わってしまった。
となると、サキは今、愛媛の俺のアパートで目覚めている頃だろうか。俺はサキの携帯電話を手に持ち、慌てて自分の携帯に電話しようとした。
ここで第一関門が俺を襲う。
サキの携帯電話の暗証番号が分からない。
6桁の数列を当てずっぽうに押したところで正解する確率は非常に低い。そこで取り敢えず、サキの誕生日を入力した。
「971127」
解除されない。西暦ではなく年号だろうか。
「091127」
解除されない。なんてこった。
さては、俺達の交際した記念日だろうか。だとすれば少し嬉しい。
「140420」
「260420」
解除されない。
なんだ…記念日じゃないんだ…。
俺は少し落ち込んだ。
いや。もしかして。
俺は淡い期待抱いて6桁の数列を入力する。
「970805」
そう入力すると、サキが実家で飼っている猫の写真を背景に、アプリが並ぶホーム画面が表示された。
サキの携帯電話の暗証番号は、俺の誕生日だった。
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