最終話 猫ちゃんと人間どちらを選びますか?

 もう一度じいに会いに行くかと道を沿って歩く。この高架下に潜ればと足を一歩入れた瞬間、世界が白くなった。前もこの感じがあったな。白服の女神か、「師走をむかえ、ますますご多忙の時期に恐れ「季語の挨拶は不要ですよ!」遮られた。全く、私も条件反射で答えてしまった。猫じゃらしを見た時ぐらいだったのに。「もう戻る時が来ちゃいました」そう伝えられた。来ちゃいましたは思ったより期限が早い時に使う言葉なんだよ、こやつ忘れていただろと思いながら、「そういうことだと思っていた」と現状を把握する。


 「見事。負債を無くしましたので、今貴方が世に戻りもう一度、黒猫として生きるか、人間として生きるか。どちらか選んでください」「後はあの人間がどうするかだな。公爵は死んだと思っていたが、そうじゃなかったのか?ここはなんだったんだ」困った表情をみせた。「時間という概念のない世界ですから、分かりませんね」なるほど、なるほどじゃないが。「ちなみに、負債を軽くしなかったらあの人間はどうなっていたんだ?」公爵は面倒みが良いのだ。「それは、我々の仕事が増えますね」それ以上の事は言えないらしい。大事なことは教えてくれぬ。そして「人間も悪くないなと思いませんでしたか?」どちらを選ぶか答えを求められた。

 「そんなもの決まっておろう、公爵が選ぶのは」


 高架下を抜け歩き慣れた道を進む、今日も小学生たちが公爵の頭を触ってくる。触らせてやろう。頭をくしゃくしゃと撫でられる。ハスキー犬にも軽く会釈をする。白い毛並みから赤い舌が出てペロペロ舐めてくるが、今は許してやろう。「おーい黒!飯食べてゲームしようぜ」「それ良いな、お勧めの所があるんだよ」会社帰りの会話の中を潜る。路地裏を通り抜けて、じいがいる庭に入る。人間の時も世話になるとはな。手足についた砂を払い落とし縁側に入る。全くうたた寝しているな。少し冷えるから温めてやろう。膝の上に飛び乗り一眠りをする。「長い散歩だったな」じいの手が頭に触れる。「撫でたいのか?仕方がないな許そう。なんていったて、公爵は社会性のある猫であるからな」

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公爵は社会性のある猫である @charanporan

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