第一章 プロローグの話どこいった?
第1話 魔王の娘(自称)が転校してきた。
家からスクールバスで20分程の大阪の高校に通う絶賛受験生の俺、
まだ五月末だというのに、気温は30度を超えている。
今の日本の気候は一体どうなっているのやら。そんな誰もが考えそうなどうでもいいことを考えながら朝礼前の教室の一番後ろの席で黄昏ていた。
そんな時にふと、この教室の変化に気づく
俺の列は六人で一列だが横の列は五人だったはず、だから今まで俺の横は一席分空間があったはずだ。
しかし今俺の横には今まではあるはずのない木と鉄パイプでできたいかにも学校の机と椅子が設置されていた。
おいおい、こんな時期に転校生かよ。なんて考えるわけもなく。
ふざけんなよ、何だよこのいかにもありきたりな転校生フラグ、こんなことあってたまるかよ。
予鈴のチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってきた。
いつも通り不機嫌な顔で。
本当なんでこの人いつも眉間にしわ寄せてるの?怖いよ?
せっかくの女性の顔にしわが増えるよ?
あ、ちなみにウチの担任はアラサー独身女性の体育教師だ。あともう一つ言うと三年連続俺の担任だ。
いつもジャージ姿で、長い黒髪を後ろでくくっている。
顔のほうは...とこの話はこの辺にしておいてだな。こんな無駄話をしているとシナリオが進まない進まない
その担任の先生の後ろには、おそらく数分後に俺の隣の席になりそうな奴がいた。いちゃった。やっぱりいるよね。
「今日は早朝テストの前に新しいクラスメイトを紹介します。」と若干切れ気味の担任。どうした、今日はいつもにまして不機嫌だな。
あ、ちなみに早朝テストっていうのは...ってだからこれじゃシナリオが!
その転校生の容姿は、艶のある長い黒髪に紫色の瞳、身長は普通の女子より少し高めだ、そして何よりも破壊力抜群の胸、、、E、いやFか?
いかんいかん。余計な妄想はここまでにしておいて、その出るとこは出ていて収まるところは収まっている体つきは男子だけでなく女子からも熱い視線を向けられていた。
いや、中には冷たい視線を向けてる人もいるけど、それは転校生に向けられているわけではなく、転校生のある一部に夢中の彼氏に冷たい視線を向けているようだ。
まあ彼氏どもはそんなものに気づくわけもなく。
リア充め、爆発しろ。
「ハーフかな?」「やばい超かわいい」「俺狙っちゃおうかな」など教室中が衝撃的な転校生の登場と衝撃的なスタイルと可愛さにざわついている。
ていうか最後のセリフ言ったやつ出てこい、これだからリア充脳の奴らは。
それよりも、黒髪だが紫の瞳で、身長と二つのメロンから見ても、ハーフに見えんこともない。ていうかハーフにしか見えない、俺も。
先生が転校生に自己紹介をするように促したようで、彼女が黒板に自分の名前を書き始めた。
なになに?苗字はリリスというのか。ん?じゃあハーフじゃないのか?
名前は...シューベルというのか。てことは日本への留学か?それとも親の転勤か?
まあこれから彼女が何かしら話すだろう。よって今からみんなの想像の答え合わせということだ。
「私の名前は、リリス・シューベルだ。私の父親は、
お前たちを殺すことなど容易いことだからな、少しでも近寄ったら跡形もなく殺してやる。安心しろ苦しむ間もなく死ねるからな。ふはははははははっ。」
と高笑いするいかにもやばい転校生。
さっきまで彼女に向いていた大きな期待は最低で最悪な返答で答えて見せた。
完全に教室の空気は凍り付く。てかセリフ長げぇんだよ。情報量おおすぎるわ。
おそらくこれは思春期に発病する、アレだよな。
いや、確実にそうだよな!
皆の大きな期待も砕け散り、先生がなんでイライラしていたのかも簡単に理解できた。
「どうした?怖気づいて声も出ないか?所詮人間はこんなものだ、本当にこの学校に救世主がいるんだろうな?」
あぁ確かにみんな怖気づいてるよ!お前のその吹っ切れ具合にな!
心の中で渾身のツッコミを入れる。
「とりあえずあそこの空いてる席に座って。」
先生があきれ顔で転校生、いやリリス、いや中二病女子に席に座るように言った。
そう、俺の横の席だ。まじで話しかけないでくれ、目立ちたくないから!
そして中二病女子はスタスタこっちに向かって歩いてくる。実際には隣の席になんだけど。俺はとにかく目が合わないように視線を横に向ける。
そして中二病女子はこっちには目をくれず普通に椅子に座っ...てない!?
足を机の上に乗せるヤンキー座り(教室版)をしていやがる。
溜まりに溜まった怒りを爆発させた担任は、転校生キャラに巨乳キャラ、中二病キャラとどれだけキャラ濃くすれば気を済むんだコイツにブチ切れた。
そういえばたった今ヤンキーキャラも確立させてたわコイツとか思ってる時には教室に女性特有の甲高い怒鳴り声ではなく、どす黒い低い怒鳴り声が響いた。
しゃべってる内容は、うん。ラノベには書けないや。テレビでもおそらくピー音だらけだね。
それにも全く動じないカルピスの原液よりも濃いコイツ。
思ったよりなかなかやばいなお前。
そう思っていた時、カルピスの原液より濃いやつが横で何か呟いた。
「パパにも救世主を見つけるためには人の習慣に慣れろと言っていたしな。」
そう呟くと、カルピスの、ってこれ何か誤解生みそうだから普通に転校生は足を机の上から下ろし俺のほうを急に向いてきた。何か嫌な予感がする。
「おいお前、我に人間の暮らしというものを教えろ。もちろん、拒否権なんてないからな!」無垢な笑顔をこちらに向け死刑宣告された気分だ。
予想通り、面倒くさいことに巻きこまれたよ。
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