第144話そこにある異世界1

下記は焼肉で間違いありません。間違えて投稿したとかではないんです!

番外になるのであんま長くならないようにします


それでは本編開始です


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私はこの世界が好きだ


家族、友人、そして猫や犬も全部


私、相坂すみれは今日14歳になった

学校から家に帰ればきっと、父や姉が盛大にお祝いしてくれる


父さんは漫画家で、異世界ものの漫画を描いてる。そのリアルすぎる描写や設定に濃いファンがいると編集さんから聞いた


姉のさくらは今年20歳の大学生だ。美人で、太陽の光に当たるとほんのり赤く見える髪の毛がとても綺麗で、私の自慢の姉


それと、私にはお母さんが二人いる

一人は真央母さん。ほんとは姉の実母らしいけど、父さんとは恋仲でもなんでもないらしい

二人目は穂乃花母さん。私のほんとの実母、元々父さんの漫画のファンだったとか、やるね父さん


そんな事もあって人よりちょっと複雑な家庭環境なんだよね

気づいたかもしれないけど、姉さんとは血のつながりは全くない

でもそんな些細な事は全然関係なくて、私は姉さんが大好きだ

少しだけ不思議な所はあるけど旅行に行ったお土産とか変わったものをくれたりするし、大学進学までは実家に一緒にいて毎日遊んでくれた

帰省の時に連れ帰ってきた友達、やばいくらい美人であれは流石に引いたなぁ…綺麗すぎて怖かったし

でも何度か会ってるうちに仲良くなってキャンプとかに良く連れてってもらったなぁ



普段は県外の大学に通っている姉さんも今日は帰ってくる!

私の誕生日を祝ってくれる


本当に楽しみ









「ここ・・・どこなん・・・?」


今朝のあの浮かれた雰囲気と打って変わって、今日誕生日の私は今何処か知らない場所に居た


「ええっと、学校出て歩いてた所までは覚えてる」


リュックは背負ったままで、服装も制服のままだ

靴はスニーカーをはいたまま


一瞬目眩の様な感じを受けたあと、気がついたらここに居た

あたりを見回すと綺麗な白壁が目に入る

壁紙では無い本物の質感だ


目が慣れてきた


天井も、床も壁も全部が白い部屋だ


部屋はまるで壁が輝いてる様な、そんな明るさだ


流石に怖くなった、胸の鼓動が速まる

耳の奥が響いてる


怖い、怖い、怖い、怖い


呼吸も荒くなってきた


視界の隅に、薄らとドアが見えた気がしてその壁に駆け寄る


壁を触ると、指先に段差を感じた!隙間がある!


私は思い切ってその壁を押すと


すうっと、音もなく壁がズレて部屋がひらき、私は飛び出した



「おお!最後の部屋が開きましたぞ!」


そう声が聞こえて前を見る

助かった、そう思った


「王よ、最後の勇者が参られましたぞ!」


勇者?


「うむ、突然の事で驚かせてしまったと思う。端的に言って、君らは我が国の勇者として呼ばせて頂いた」


そう、髭を蓄えたいかにもな初老の男性

おお…王冠かぶってる。マジだ!父さんの漫画の世界だ!

そんでお決まりのセリフが続く


我が国の姫が魔族にさらわれてしまった

魔王が攻めてくる

我が国の危機である

召喚した君らには力がある

国を救ってくれないかー・・・


はい、おきまりです。


ここには私のほかにあと3人がいる


シュディ・アラン

青い髪の毛、整った顔立ちに引き締まった体は服の上からでもよくわかる男の子

ただニコニコと笑顔を振りまいている

いかにも勇者属性な彼は15歳だそうだ

父の描いた勇者像にそっくりだった


シーナ・シーナ

びっくりした。姉とその友人達みたいな美人がまだいたよ

さらさらで金色の長い髪の毛、ありえへんくらいの美人

スレンダーな体つきは持たざる者への配慮か?わずかながらに私が勝利!

このお方は15歳とのことだが、いや20歳以上に見えるって!落ち着きすぎ!


カンザキ・トワ

名前は日本人ぽい男の人。

でも髪の毛はシルバーなのか、白くてキラキラしてる

身長はさほど高くなく、華奢な感じでぴしりと着込んだグレーのスーツはどことなく気品を感じる

彼はなんと29歳だそうだ

いやまってよ。童顔にもほどがあるでしょ、同い年くらいにしか見えない


主人公属性持ちすぎじゃない?私以外の全員が

私はただの中学三年生で特殊技能もなんもない地味な女の子なんですけど?


場違いが過ぎるよ

アイドルグループの中にモブが混ざってますって

だれだ私呼んだやつ。ほんとわからせてやりたい


「えっと、相沢すみれです。14歳、中学生やってました…趣味はとくにありません」


自己紹介だってこれしかないの



四人で食事する事になった

ちょうどお腹すいてたからいいけどさ

いきなり見ず知らずの国での食事、食べれる物出てくるといいなぁ‥

あ、焼肉食べたい。

お姉ちゃんと友達が来た時にやる庭での焼肉パーティ、ほんと最高


なんか広い部屋に通されて上座に並んで座らされる

まるで結婚式披露宴のような雰囲気だ


司会の人はさっき宰相とか言ってた人ですね

なんかこれで我が国は生き延びれる、安泰だなんて言ってます

それに涙し、歓喜する丸テーブルに座っていた人々


いや、これなに?

国の危機なんじゃなかったの?


「へぇ、シーナはかなり離れた国から召喚されたのか。聞いたことないなぁ…ロスコナ?」


そんな会話が聞こえてきて、思わず右を向く

すると、声の主ではなく隣のトワさんと目があった


「すみれちゃん、だっけ。僕は日本から呼ばれたんだけど、君も?」


「えっと、はい。そうです・・・田舎なんですけど。トワさんは?」


「僕も田舎、瀬戸内海の島からだね、人口はそういない島だしたぶん知らないと思うよ」


トワさんはとても話しやすかった


それにしてもこの会場、なんか見世物にされているようで嫌だなぁ


二時間ばかりそこで歓談をして、別室に通される

どうやら会場はまだ宴を続けているようだった


その別室で、一人の年配の綺麗な女性に頭をぺこりと下げられた


「申し訳ありません、勇者様方。この国の不安はこの中枢といえどかなりのものなんです」


そう言われると、あれも必要な事なのかなと思ってしまう

勇者属性が強いアラン君がすっと前にでて


「いいえ王妃、わかっています。僕はこの国出身ですからよくわかっています」


そう言った

おいおい、君ずいぶんしっかりしてるじゃん

本当に私のいっこ上なん?


おいおい、王妃泣いちゃったじゃんか。すげぇ年上キラーだねアラン君は


そしてそんな会話の後、早速ですがと横に控えていた兵士が話始める


なんでもこの国にはステータスがあるとのこと


定番すぎですよ


そして各自、ステータスと言ってなにやら虚空を見つめている

ほんとにみえてんの?

私も勇気をだして


「ステータス」


すると目の前に文字と数字が表れた


ええっと、なになに


相沢すみれ

Age14


HP20

MP 1

攻撃力 1

防御力 1

素早さ 2

魔力 1


スキル なし


そんな文字が読み取れる

どう考えてもこれ、モブじゃんか・・・

呼ばれ損だよ

いや、呼び損ですよ国王様


父の描いた漫画ではモブはモブだった

ただ、そのモブはとても魅力的で勇者パーティではムードメーカーみたいな存在だった

努力家で、どんどん強くなって、ついには魔王にも相対した


あれは漫画だ、私の現実じゃない

あんな努力私にできるはずがないじゃない


横では兵士にアラン君とかシーナさんがなにやら報告をしている


「剣術と槍術、あと光魔法と火魔法が使えるようになってます、スキルは空欄です」


はいはい、アラン君優勝。それ勇者の中の勇者でいいと思うよー


「私は火・水・土・風・木の魔法全て、あと回復魔法ですね・・・スキルのところには何もないですが、称号のところには賢者と書かれています」


おーい、シーナさん。あなたが賢者でしたか

ローブを着た姿を想像したらめっちゃ似合ってた。はい優勝


続いて、銀髪の麗人トワさんだ


「僕は支援魔法、あと闇魔法と召喚魔法でしょうか?それと剣術、槍術、弓術と馬術、スキルの所には詠唱破棄、高速移動、経験値二倍と書いてありますね」


ちょ、トワさんすげぇな!こりゃ優勝の中の優勝ですよ

主人公かと思っていたアラン君の口が開いてますよ、そりゃ驚くよね

おおっと、王妃も兵士の人の口も開いてた


「す、すさまじいですね!いきなりスキルが発現しているとは…ふつうは戦闘経験を経て覚醒すると聞いているのですが」


兵士の人の称賛に、なぜかアラン君は悔しそうな顔をしている


それに期待したのか、私にも嬉しそうな視線を向けてくる兵士さん

でもね、オチなんですよ私は

どうしようもなく、オチなんです


「私は何も書いてありません…魔法も、攻撃技能も、スキルも称号もなんもないです…ごめんなさい」


そう言った時の落胆の顔は酷いもんですよ

なんでか王妃まで私のことをかわいそうな子を見る目に変わってましたもん


「と、とにかく勇者として召喚されたのです。きっとこれから技能は備わり、スキルもきっと!」


そう兵士さんがフォローしてくれたんだけど


え、ちょっとまって。私も戦いに駆り出されるん?

マジですか?




お姉ちゃん…助けてーーー!


私はそう心の中で叫んでいた

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