第126話だから、わたしの手をとって5

グインに教えられたダンジョンにて、モンスター肉を食う


未だ階層は2階層、1階層目ではモンスターというモンスターは出なかった。ただ宝箱が2つ程あり、中には回復薬と思われる物が1つづつ入っていた。


それを手に2階層に降りて来た途端にモンスター、シャドウラビットと三連戦


辛くも勝利する。幸いな事は、1匹づつ現れた事だった

もし複数に襲われていたならば負けて、死んでいたであろう


最悪な事は、シャドウラビットはウルグインのダンジョンならば雑魚だったと言う事で、本来ならば歯牙にもかけぬ程の相手の筈だった事くらい


そしてグレンに聞いた通りに倒した後は、その肉を食べた



二人は安全地帯に引きこもり、疲労感を癒す様に寝たのであるー





起きて、3階層に降りる

ここは普通のダンジョンとかなり違うと聞いていた

モンスターのリポップがかなり遅いと言う

倒して、その階層に再び現れるまでは1日掛かると聞いていた

だから下の階層へと移ったのであるが


「グルッ」


「なっ!もうモンスターじゃと!ウルフ系か!」


「はっ、楽勝!」


ゴルドは背中の斧を持ち、アイエテスはショートバックルを構えてロングソードを鞘から抜き放つ


アイエテスが駆けて距離を詰めるがアイエテスはその横を突き抜けてしまう


「なっ、速い!?」


「はぁ!?お主何をしておる!敵を追い抜いとるぞ!」


アイエテスは地面を逆に蹴り、なんとか止まる

これがラビットの肉を食らった結果だと気付かないアイエテス


「おいゴルド、足が速くなってるぞ!気をつけろ!」


ゴルドはアイエテスが自らの体をコントロールし切れなかったと察する


「ふん、これがモンスター肉を食らうという事か」


ゴルドは流石で、それにすぐ気づいてアイエテスに伝える


「そうか…こんなに簡単に速くなるとはな」


アイエテスは内心ヤバいと考える

何故ならば「眼」が着いてこなかったのだ。体の性能に振り回されるなど信じられないのだが、事実として自らが体験している


身体の力をふっとぬく

いつの間にか力み過ぎていたと気づいた

そして、自然体で再びウルフに斬り掛かるが簡単に躱される


あまり力を入れると先程の二の舞になるのを、一回で修正してくるあたりかなりの経験値があると言える


「あいつのバフが掛かっているような感覚だ」


あいつ、それはアイエテスの妻であり補助魔法使い。


「わかった!」


其れだけの会話でゴルドも対応して来る

ゴルドがドンドンと駆けて、斧を振り下ろすがウルフは飛んで避ける、そこをアイエテスが剣で斬りつけるのだが


「くそ、掠っただけか!」


「何をしとる」


ゴルドが睨みつけるが


「あいつも、速いな」


「なるほどな…」


さて、どうするかと考えて居ると


「うぉぉぉぉぉぉん」


ウルフが吠えるー


「なんじゃとぉぉぉ!」


ウルフの周りに魔法陣がぶわりと、何十も浮き上がる


そこから顔を出すのは槍である


「モンスターが魔法を使うか!」


ドンッと空気を震わせ飛び出る槍を二人は必死にかわしていくが


「ガウッ」


「ぐっ!」


「ゴルドォ!」


槍に紛れたウルフがゴルドの腕に噛み付いている


アイエテスは慌ててゴルドに噛み付くウルフに斬り掛かるが気付かれて避けられる

ゴルドの太い腕からは血がどばりと落ちた


有り得ないほどの攻撃力だ

ゴルドの腕に噛み付けたモンスターなど、そう多く居ない


なのに、このウルフは単体で其れを簡単に成し遂げる


「うぉぉぉぉぉぉん!!」


味をしめたのか再びウルフの周りに魔法陣が浮かび上がっていた








「坊主、ワシの魔法が効いとるウチにやれええええ!」


ゴルドがここぞとばかりに大声を出した


「わかっておるわああああ!」


アイエテスの剣がそのモンスターの首元へ吸い込まれるように差し込まれていく


ザンっ


「はあ、はあ、はあ…」


「ふぃぃ……なんとか、じゃの」


「し、死ぬかと思った……」


二人が死闘を繰り広げた相手はアースウルフと言う狼だ

その名の通り土魔法を使い、攻撃して来る


ダンジョンの壁一面に、土魔法で作られた槍が突き刺さっている状態である


「傷薬が無かったら本当に死んどるところじゃ……」


この階層でのモンスターはこのウルフ一体のみであった

だと言うのに、いや、だからこそなのか二人は既に満身創痍である



「モンスターの強さが尋常ではないぞ…何なんじゃこのダンジョンは」


ゴルドの正直な感想だ

ウルグインのダンジョンで出るモンスターと比べても、余りにも強すぎだと思う

確かに、ウサギやウルフは低階層でも出てくるモンスターだ


だが、その強さが問題である

もはや次元が違うモンスターと言わざるを得ない


「あのウルフ、土槍の魔法、連射しやがったからな…」


「そもそもモンスターがあのレベルの魔法を使う事自体がおかしいわい。なんじゃ槍魔法って、あの数って。ワシでも同時だと三本程しか出せんぞ……」


二人は楽観的だった考えを改める

そして2階層と同じようにウルフを解体し、同じように食事を取った


「なあゴルド、しばらく2階層、3階層で狩りをしないか?」


「それが良さそうじゃのう…このウルフの肉はどんな効果か分からんが、2階層でウサギを食らって無ければ死んでおったろうからな」


「ああ、安定して倒せるようになっておかないとこの先の階層が不安じゃな」



「エルマが心配ではあるが、先を急いで死んでいては元も子もないからな」


ゴルドとアイエテスはそうやって慣れて行く事に徹底していく事になる


4階層でコウモリは難なく倒せた。



そして5階層でのモンスター


ミノタウロスにて、初めて撤退し、4階層に舞い戻る


そして再び、2.3.4階層を周回を重ねて力を付けていくのであった


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