第47話建国祭1日目2
しかし、女性と言うものは結局どの世界でも考えることは同じなのだろうかとカンザキは思った、こうも占いが好きなのは。
キャサリンとカンザキは既に10件ばかり占い屋を巡っている。
そのどれもが見たことも無い強運だとか、2人の相性は最高だとかそんな恋愛系の占いばかりを聞いてキャサリンとカンザキは巡り巡っていた
明らかに機嫌が良いキャサリンは占い師からよほど良いことを聞かされているに違いなかった
「いやぁどうするよカンザキ、私ら相性最高らしいぞ?これはもう結婚するしかないんじゃないかなぁ?」
「いやまだ付き合っても無いのにそれは気が早いと言うものだぞキャサリン。ていうか俺は騙されねぇからな!キャサリンみたいな美人が俺と結婚したいだなんて思うはすがないからな!」
ぼっと、音が聞こえるくらいの勢いでキャサリンの耳が赤くなる
耳だけならともかく全身からゆだつほどの蒸気がでるように赤い
だがカンザキはそれを見逃してしまっている
それが鈍感系主人公というものだろう
「そそそ、そうかい?だけど私も女だよ。そろそろかなぁと思う年齢ではあるんだけどね」
「あー。そうか、そうだよな。だからって誰でも良いって感じで相手を決めちゃぁだめだぞ?たとえ女神が許しても俺がゆるさねえ」
そう、ウルグインキャサリンファンクラブ通称WCF会長としてな!
キャサリンの旦那は俺が認めたやつにしか任せられねえ!
そんなカンザキの様子をみてキャサリンはうんざりしたように言った
「はぁ。カンザキは相変わらずだね。シアもかなりやきもきしてるんだけどねぇ」
え?なににやきもきしてるんだ?
やきいも?あ、焼き芋してんの?なんで?
辺りからざわざわと声が途切れない。昼間からずっとネオンの様に提灯や魔法で彩られた街並みがそこにある
「だけど賑やかだなぁ」
占いゾーンを抜けていて今は武器防具などの露店が立ち並ぶ大きな路地にきている
時刻はすでに完全に夜なのに、まだまだ行き交う人の流れは途切れない
どこから集まったのかわからないほどの人がそこに集まっているのだ
「あ、カンザキは祭初めてかい?」
「そうだな。前回の祭の時はダンジョンの中だったからさ」
「まあ、賑やかだけどさ…期間は短いからね。ただ、この間だけは冒険者達もダンジョンには入らないから実質冒険者達の休日みたいなもんだね」
「へぇ、そうなのか」
「あとダンジョンで採掘や採取された資源もこの間に回復するって話もあるしね」
もはやどういった仕組みなのかはわからないが
つまるところダンジョンの資源回復の為にもこの祭は重要の様だった
「まぁこの三日間は存分に楽しもうじゃないか」
そうだな・・楽しむか
カンザキはそう思いなおし、楽しむことと決めたのだった
----------
王宮でも同様に祭の対応に追われていたのだが・・・
慌ただしくクナトは廊下を歩いていた
まるで走るような速度で、足音を抑えようともしない
その異様な光景に使用人たちはびっくししたように会釈をしている
事件が発生していた。
それも、かなりの事件が
「それで、王はいったいいつからいないのだ!」
会議室のドアを開けるなりクナトの声が響く
「クナト様お静かに・・」
布の帽子を深くかぶり、眼だけが見える男が人差し指を唇にあてて静かにのジェスチャーをする
それにしまったと感じてクナトは声量を落とす
「すまない、だがどのような状況なのだ?昼間にあった公開演説の時には何も変わった様子はなかったと思うが」
「そうですね、お夕食もきちんととられていたのは確認しております」
「なら…その後だな…で、このことを知っている者は?」
「はい、先ほどアレクシア様とレオノール様がお気づきになられたあと、即座に親衛隊を動かし、飛竜部隊も搜索を始めた様子です。あと知っている者はメイドくらいのものかと」
「ふむ、王に近い兵士とメイドか。ならばこれ以上知られるわけにはいかんからな・・来賓の方々にも知らせるな」
クナトは腕を組んで思案しつつ言った
「わかっております・・先ほどディーネ様から焼肉ゴッドには来ていない様子だとありましたので、本格的に行方不明ですな・・」
「ディーネか・・・シャルロットの後釜で隊長になった者か」
「はい、これは本件とは関係ないのですが現在焼肉ゴッドに見知らぬ新たな従業員二名が加わっているとのことです」
クナトは頭を抱えて
「どうせただものではないのだろう?」
この大問題があるときにまた追加で問題が発生した様な気分になる
「いえ、それがただの人間と猫の亜人の様です」
「そうか、それなら問題はないな」
そうは言ったものの本当にそれだけですむはずはないとクナトは思っている
あの店の・・戦力でという意味では異常だと言えるし、そこに居るものが普通でいるはずがないのだから
たとえあの店一店舗が一国を相手どっても負ける事はないのではないかとさえ思える
冒険者ではないと本人達は思っている様だがその行動範囲と影響範囲はあまりに広い
そしてなにより、あの店に行ったアレクシア、シア様があり得ないほど強くなっているということもある
王宮に帰って来た際、鑑定士がシアを見ている
その結果、大幅に強くなっていた事が確認されているのだ
鑑定士は数値によって強さが図れる
そして種族や年齢なども分かる
その能力は大変貴重なもので、国単位で1人か2人しかいない。
ウルグインには冒険者の中にも鑑定能力のある者がいるのでかき集めて20人ほどが今回王宮に詰めている
ウルグイン武大会の為にできるだけ集めているのだ。
あからさまに実力が違うもの同士を戦わせないためもある
実力が違いすぎればそれは面白くない戦いにしかならないからだ。
その事もあり、王の命令でアレクシアを鑑定し、アレクシアより強いものがいれば婿候補に・・ということもあったのだが・・・
大会の全出場者の中にはアレクシアより強いものなどいなかった
それどころか王よりも強いことが確認されたのだった
王もここ数か月でかなり強くなっていたにも関わらずだから、その成長速度は異様であるとも言える
そうか・・・それもあるのか?
クナトは思い当たる
娘のほうが強いと知った時の王のプライドはズタズタになってしまったかもしれない
その事実は伏せていたものの、王が耳にした場合、あの王のことだきっと鍛えなおすとか言ってダンジョンに行ってしまっている可能性もある
「ふむ、王の事だ。誰にも言わずに出かけるなどということはあるまい。おそらく誰かに行く先は必ず告げているはずだ」
本来それはクナトであるべきはずなのだが、今のクナトにはそれが気づかない
「そう思いまして、皆に聞いては見たのですが誰も聞いていないと・・・」
このまま王が見つからないと非常にマズいことになる
幸い国同士の会議なども催されているのだが、そちらにはアレクシアが出向いているし、
レオノールもそこに出席している
そうなると問題になりそうなのは3日目の武大会の表彰式である
そこには必ず王が居なければいけない
王から優勝者に祝辞が述べられる
こればかりは代役が効かないからだ
クナトが色々と思案している所に情報がもたらされた
城の隠密、と言えばいいのか、シーフから一通の手紙が届けられた
それをぱらりとめくり目を見開く
「王の行方が・・・わかったかもしれません」
「なにっ!本当か!?」
「はい、南の国-ラスクロの使者が参りまして、王の身柄は預かっていると・・そして引き換えに・・」
「誘拐だと!?あの王がか!?」
「はい、引き換えにーダンジョンを寄越せと、この国を属国に加えるとーその様な書簡を持って参りました」
クナトは思案するー
歴史でいえばラスクロは非常に古い・・・
ラスクロの国は資源が豊富な国だ
未確認ならがダンジョンがあるという話もある
そしてその反面、その国民はこのウルグインに良く冒険者として来るしそのまま住み着いている
商人なども多量に拠点を移しているはずだ
ウルグインを中心に東西南北に国があるせいでこのウルグインは世界の中心といっても過言ではない
ラスクロからすれば己の国に魅力が無く国民が盗られているといった風に思われている可能性もある
一体なにが正解かわからぬが時間はないと思われる
王を救出しなければー
そう、その時にクナトの頭に浮かぶのはある一人の男だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます