第45話あと5日
「うう、そろそろもう帰りたいのよぉー」
顔から出る水という水を垂れ流しながら泣きじゃくる女神
「なあ、なんで魔王が現れる度に勇者が産まれてんだ?」
「んぷぁ?それは言い伝え通りよ。魔王となるべき者が生まれる度に勇者は産まれるの」
まだ裏がありそうだなぁ
「ところで、このユキが魔王を倒した時は帰れなかったのか?」
おおっ!と手を叩くユキ
そういえばそうだなと気づいたようだ
「帰れたわ。一応ね……」
なんでまたこっちにいんだよ!
「その後に天界から地上見たら、逃げた勇者と魔王を見つけてね・・・今度こそ捕まえてやろうと思って・・・再び降臨したんだけど逃げられたのよ」
わかった。こいつバカだわ
「あれからもう三百年・・・・早いものね・・」
後先考えて行動しろと言いたい
「再び魔王誕生したものの、勇者が倒しに行ってくれないからこの街を探しまくったの。勇者を。でも見つからなくて、仕方なくあの時倒してくれた勇者を再び召喚したのよ・・・」
なるほどな
「ちなみに今の王家に女子しか産まれない呪いをかけたのもそやつじゃぞ」
ぶはっ!
「何やってんだアンタ・・・」
「だ、だって悔しいじゃない!あのクソ野郎の子孫が繁栄するなんて!それに女子なら絶える確率は減るわけだし問題はあまりないわよ!!」
うわあ
皆が嫌なものを見たような目になっている
「なるほど、わかりました。道理で代々女子しか生まれなくて、しかもそれほかの国の王家に嫁に出されても呪いが有効だったのですね。親類が女ばかりなのも納得しました」
シアが言った
ちょっとまて、その血筋広がると世界中女ばかりになってやばくないか?
女神があっ!って感じの顔になってる
むしろ魔王よりも女神が人類消そうとしてんじゃないか!?
女神が一瞬輝く
「だ、大丈夫!もう大丈夫だから!」
こいつ今解除したな・・・
全員がジト目である
「な、なによぅ。」
色々とボロが出まくるなぁ
「とりあえずどうするかだな」
「とりあえず女神放置で良くない?」
全員が頷く
「え?ひどくないそれ」
お前が言うな女神!
とまあ、こんなやりとりがあった訳だが
その後に問題が発生した
女神の、神の力が無くなったらしい
原因は呪い解除をしたこと
思いのほか広範囲に広がっていたそれは残っていた女神の力を使い尽くしていたようだ
後先考えてないな本当に…
そして今まで力を使い過ごしてきた女神にとってそれは致命的だった
家や食料すらも全て力を使いなんとかしていたらしく、無一文
そしてそれが故に焼肉ゴッドで働くようになっていたのだった
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「あーだる。だるいわぁー」
そんな事をいう割にはちゃんと働いていた女神
「むーたんにこれ運んどいてくれ」
「かしこまり~」
無心で動いてる・・・
「みにゅたんお水~」
「かしこまり~」
うーん・・・シュールだ
フラフラと幽鬼のように生気のない女神が動いている
だがまあ、ちゃんと働いているから良いか?
なんだかんだあったが、その日の仕事が終わった
今日も充実した一日だった
掃除も終わり、風呂に入る
すでに全員入浴は済ませている
以前強襲されたので確認済みだ
あれ以来、シアもキャサリンもあまり積極的に来ないのだが、助かってはいるのだがー
拒否しすぎて嫌われたかなとも思う
少しだけ残念でー
ってなに考えてんだ俺は!
カンザキはいつも最後に風呂に入る
誰かに言われたわけではないが、そういう習慣なのだ
ガラリと風呂の入り口が開く
まずい!変な事を考えていたから誰か来たか!?
くそう!
カンザキは入り口から体ごと目を逸らした
後ろから湯に入る音がする
ちゃぷん
ちゃぷ
な、なんでなにも言わない!?
誰だろうと、ゆっくりとカンザキは振り向いた
そこに居たのは
「め、女神さん!?」
「あ、店長もお風呂でしたかー」
店長!?
「お疲れ様ですん」
「お、お疲れ様・・・」
!?
なんか目を見開いてこっち見てるぞ
嫌な予感しかしないんだが
「あ、なんだ店長か」
「え?」
酔っ払いか!?
「じゃ、先上がるわ」
カンザキはこそこそと上がる
何事も無かったかのように着替えて部屋に戻ろうと脱衣場を出ようとした時
「きゃああああ!」
女神の叫び声!?
カンザキは慌てて浴室に戻って
「どうしたぁ!?」
そこには胸を抑えてわなわなと震える女神がいて
「変態!」
と、風呂桶を投げつけてきやがった
つかおそいよ。反応が遅すぎるよ
甘んじて風呂桶を顔面で受け止めて
そっと下において
浴室から出たのだった
部屋に戻り、寝転んでいると女神がやってきて
「みたわね?」
そう言うから
「見たが見ていない」
そう答えた
「古来より女神の裸を見たものはその夫になると言う習慣があるのをご存知ですか?」
「いや、初耳ですね?それに見ていませんから。」
「そうですか、じゃあ今から見てくださいね」
そう言って服を脱ぎ始めた!?
俺は落ち着いて
「キャサリン助けてぇぇ!」
叫んだ
キャサリンは凄い勢いでやってきた
「カンザキどうしたんだい!ってはあっ!?」
「あの、いや、その」
「バカ女神、ちょっとこっちにおいで」
「あの、あの!」
キャサリンが髪の毛を掴み引きずって行く
「あ、キャサリンおやすみー」
「カンザキもお・や・す・み」
ウインクをしてキャサリンは女神を連れていったのだった
その夜はー
翌日の明け方まで女神の悲鳴が響きわったったのであった・・
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