第44話女神の制約
女神が来てから2日、次いで祭りまではあと5日となった。
その当の女神は結局どうなったかと言うと
「いらっしゃいませー」
「おう、4人な」
「かしこまりー。こちらへどぞ!」
焼肉ゴッドで働いていた……
「まったく、なんで私がこんな事を・・・」
ブツブツ言いながらテーブルを吹いている女神様
「みにゅたんお酒四つお願いー」
「はーいかしこまりー」
ブツブツ言いながらも楽しく働いているのがわかる
見た目の愛らしさは言うまでもなく、シア、ユキ、ミニューの美女3人は焼肉ゴッドの看板娘として客を集めた
元々焼肉文化のなかった世界において、焼肉ゴッドは異端であった
口コミでうまいぞと、ゆっくりと客は増えていたのだがここで爆発した
ブロンド美女で巨乳、丁寧な言葉遣い、だが気品溢れるシア
黒髪に黒目、身長は低く幼さがある。だがしゃきしゃきとした動きで元気溢れるユキ
ネコ耳は亜人の中でも貴重!それにスタイルも抜群、白髪が可愛いミニュー
三者三様の接客は焼肉ゴッドの売上を何倍にもしてくれた。
「カンザキよ、なかなか流行っておるではないか」
「むーたん、腹減ったのか?」
「お主はまるでいつも腹ペコみたいに扱うのう」
「違うのか」
「いや、その通りじゃよ」
「適当に空いてる席に座ってな、持っていくからさ」
そう言うとむーたんはトコトコと店内に入ってテーブル席に座る
しっかし、まさか女神が帰らないとはなあ
◇
「女神さんよ、お引き取り願おうか?」
俺がそう言うと女神は
「か、帰りません。魔王を討伐するまでは!」
青い顔をしてそう言った
「一体何があるんだよ・・・」
「ふむ、カンザキ。多分この女神、帰れんだけじゃないかの?」
え?どういう事だ
「女神が地上に降り立つには受肉する必要があるんじゃが、まあわしも似たようなもんじゃ。それで基本的に帰るためには受肉した肉体が滅びないと帰れんとか、まあ制約があるんじゃ」
それでそれで?
「受肉する際に、その条件というか、まあ目標ならぬ約束事をしたりするわけなんじゃがー女神、お主帰還する条件を魔王の討伐か死亡にしたな?」
ビクッと女神が震える
「やはりの。わかり易く言えばこやつが元いた世界に戻るためには魔王が死なねば帰れんのよ」
汗をダラダラと流し始める女神
「し、仕方ないじゃない・・・あの時、魔王が暴威を奮っていたんだから・・」
「なるほどの。天界からある女神が消えた話は知っておる。だがあれはもうずいぶん前だったようなー」
にやにやしているむーたん
悪い顔をしてるな・・・
「むーたんなにか知ってるのか?」
「知っとると言うか聞いたことがあるだけよ。昔の話じゃおそらくカンザキが知っとる魔王とこやつの言う魔王は別人じゃないかのー」
「どんなお話なんです?」
シアが混ざってきた
「そうじゃの、シアやキャサリンは関係あるかもしれんな。」
むーたんが語り出す
昔話
昔、魔王が世界を混沌とさせていた時代
ある女神が1人の若者に力を与えた
魔族が圧倒的な力を持っていた為に、弱っていた女神も人間1人だけにしか力を与えることが出来なかったと言われている
若者は魔王を倒すべく、たった1人でダンジョン奥深くに居る魔王を倒しに出た
「あ、知ってますそれは!確か、魔王を倒した後に最初に村が、そしてその子孫が王となる国が出来たんですよね。だから今度の建国祭はそれを祝う為に・・」
「まだ途中じゃ」
むーたんがシアのおでこをペシリと叩く
だが魔王の元へたどり着いた勇者には魔王を倒すことは叶わなかった
なぜならばー
「なぜならば?」
魔王に惚れてしまったのだ
あろう事か勇者は魔王に対し、求婚を申し込んだ
「ふぁっ!?」
ユキ五月蝿さい。なんで驚いてんだ?
そして魔王もー
勇者に惚れてしまっていてー
魔王はその時の世界征服をやめて魔族を魔界に送り返した
そして勇者と魔王、2人は永遠に結ばれたのだ。
金色の魔王エルザと
銀翼の勇者グインの物語
だがその結末はある女神の怒りをかってしまった
「ミニューさんですか?」
チラリと女神を見るとガタガタと震えている
「伝えられている話とかなり違いますね。魔王は勇者に倒されたと聞いていますのに」
女神はー勇者と魔王の離れた隙を狙い、
ダンジョンをより深くして、魔王との仲を引き裂こうとしたという
「は?」
目論見通り、勇者と魔王は引き裂かれた
勇者の元には魔王との子供が残された
それがウルグインの血筋となり、今に繋ぐ
では魔王は?
魔王は泣いたのさもう二度と会えないわけはないと信じてな
魔王は勇者に会うために、地上へと向かう
勇者も魔王に会わんとダンジョンへ潜り
2人は再び再会できたとさ
「はぁー、良かった」
シアがホッとしている
ユキもなんだか目がウルウルしてるな
「まあかなり端折ったがこれがわしが知る話よ」
「で、その怒り狂った女神さんはどうしたんだよ?それで終わりじゃないんだろ?」
んむー
勇者と魔王は逃げたのさ。幼い子を村人に預けてな
それをな、なんと女神は追ったとされている
「追ったぁ!?」
地上に降りた女神は、2人を追ったのよ
「な、何のために」
「わしが言ってもいいかのう?」
むーたんが女神を見ると耳を塞いでいる女神が泣いていた
「許可を貰ったので話すとな」
え!?許可でてたか今!?
「女神は勇者に惚れていたのじゃよ。そして力を与えて魔王を倒したら天界に迎えて夫婦となる算段じゃったらしいのう」
はあ!?
「ひ、ひどい話だわ・・。振られたから意地悪したのね」
「しかもじゃ、魔王も勇者も不死に近い。逃げられたあげく迷子になった女神は延々とこの世界をさまよい歩いていた。魔王が死なぬ限り天界にも帰れないようになっていたそうじゃよ」
それもある意味ひでぇな・・・って!
「みにゅたん、可哀想」
ユキが女神に手を握りしめる
さらにシアも
これは残念な奴を見る目だな
「なあ、じゃあユキが倒した魔王とか、今俺の友人の魔王とかは誰なんだ?」
「まったくの別人じゃな」
「あ、魔王が生まれたとき王家に勇者が産まれるのは何でなの?」
「ふむ、わしもそこまではしらんな。女神に聞いてみると良いわな」
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