第32話キトラ頑張る!
ウルグイン国王による焼肉ゴッド襲撃事件より二日
王宮の面々はこの自体を重く受け止める
とりわけレオノールはまさかあそこまでの行動を起こしたこと、止められなかった事を悔やんでいた
「国王のあるべき姿ではありませんね」
だが、それでも王の威厳は少しも色褪せない
それは単に王が強いだけでは無く、その政治力が素晴らしいからだ。
若い頃は色々と国民と触れ合い冒険者としても名を馳せた。その経験が今の王を支えているとクナトは言っていたが本当かどうかは分からない
クナトは王が若い頃から一緒に居たらしいからよく知っているのだろうが、レオノールは知らないのだ
一番上の姉は、レオノールが12歳の頃に居なくなった
10歳程離れていたと思うから、姉と言うよりは母と言ったイメージが強い。
レオノールの母はおそらく死んだのだろう
誰も教えてはくれないが、見たことはなく母の思い出と言えば姉のルシータに世話をして貰った事くらいだ
二番目の姉は、歳もまだ近いせいかよく遊んでくれた。アレクシアお姉さまは成長するにつれて、一番上の姉に憧れていたのかやたらと武術や魔法に飛竜に夢中になって浮ついた話の一つもなかった
お見合いをしても、「あの方は私よりも強くありません」と言って断る始末で王族より強い者なんてほとんど居ないのに結婚出来るのか?そうかなり心配したものだったが、あの謎のドラゴンスレイヤーカンザキと出会い、ついに恋心を芽生えさせる
それを邪魔をする父は一体何を考えているのか・・・
本気ではないと思っていたが、レオノールは甘かった
父は、王は本当に焼肉ゴッドを襲撃してしまった
破壊された入口等は修復を急がせたし、親衛隊の行き遅れーもとい、「最強の花」シャルロットは良き夫を見つけて結果的には良かったが
「シアお姉さまの邪魔をさせない為に、焼肉ゴッドの近所に飛竜駐屯地を作って王がまた暴挙に出たとしても食い止める必要があります」
さらりと流れる銀色の髪は美しい
王に似たレオノールは髪の色が姉達の金色とは違う
子供の頃にコンプレックスを抱いていたが、シアに言われた一言がレオノールの気持ちを軽くした
「レオノールの髪は綺麗な色ね」
「お姉さまの金色の方が綺麗よ!」
まだ小さかったレオノールは姉が何を言っているのかと怒った
「お父様にそっくりな銀色羨ましいわ。王者の色ですもの、それに・・・」
「それに?」
「とても綺麗じゃない、私やルシータお姉さまにはない、あなただけの色よ」
それ以来、レオノールの銀の髪は自慢になった。
確かに、銀色の髪はあまり見なくて周りの人達の注目を引く
王宮に飾ってある、初代王の奥方も銀色の髪だった
その血を身に受け継いでいると感じられた事はレオノールに王族としてのプライドも与えてくれたし、国民に近く国民を想う良き王の見本がすぐ傍にあった
だが
「残念ながら王は、堕落してしまっております」
最近の王の立ち振る舞いは酷いものであった
それが父親故の事だとは分かっているが、だがそれでも王なのだから娘が恋をしているくらいであれ程取り乱すのはいただけない
「王を王宮にて引き止めるのは不可能だと分かりましたので、焼肉ゴッドに押し入る寸前、または押し入ったとしても直ぐに止められるそんな場所を確保しましょう」
ちょうど焼肉ゴッドの正面が空いていたのでそこを手に入れた
二階建ての元店舗である
裏庭が広く、飛竜を2体迄なら待機させておく事も出来るのが魅力だ
両隣が飛竜を見て警戒しないように、大きな囲いをしておく。
一階には治安維持目的の兵士集会所としてカモフラージュ
二階にはレオノールと親衛隊2名が宿泊出来る部屋も用意した。
これで準備はできた。
親衛隊と兵士には負荷をかけてしまうが、納得してくれた。ありがたいものだ。
そして準備は完了して
鹿さんとシャルロットが結婚した翌日
焼肉ゴッドとキャサリンの店の従業員は帰って来たのだった。
まったく、お父様はまさか今日は来ないとは思いますが・・
そう思って焼肉ゴッドを見る
するとそこから強そうではあるが、何だか冴えない男が出てきた
あれが、カンザキさま?
続いてうさ耳の可愛い1人の少女が出てきた
亜人(デミ)の少女
か、か、か、可愛いーーーー!
なんですのなんですの!あの可愛いうさ耳少女!可愛過ぎます!
レオノールは可愛い物には目がないのだった
気がつくと少女の後を追ってしまっていた
完全にストーカーである
うさ耳少女はダンジョンに向かっている様だ
背中に矢筒や弓もある、まさかあんなに小さくて可愛いのに冒険者?
そう言えば少女は焼肉ゴッドから出てきていた
関係者なのかしら?
話しかけてみようかしら・・・
そうよね、関係者よね、護衛の為にも情報収集の為にもあの子に話しかけるのは必要よ!
決まるとすぐに行動するのは血筋だろう
「あの、お嬢さん?」
レオノールはドキドキしながら話しかける
「はい!」
くるりと振り向いた少女はにこりと笑っている
か、可愛い
「あの、どこに行かれるのかしら?」
うさ耳がピクピクしている・・・
「ダンジョンにお使い!お野菜を取りに行くの!」
「1人で?」
「そうだよ!キトラはできる子なんだよ!」
「キトラ?」
「私の名前!」
はう!可愛いすぎます!
でも1人でダンジョンだなんて、危ないですわね
「キトラちゃん、私もついて行っていいかしら?」
「お姉ちゃんも?危ないよ?」
「大丈夫です。私こう見えても強いのよ?飛竜にだって乗れるんですから!」
そう言うと
「そうなんだ!キトラと一緒だね!じゃあ一緒に行こ!」
そう言ってキトラはレオノールの手を握った
幸せすぎます
ぽわんとしてしまうレオノール
何が一緒なのかは深く考えなかった
まだ幼いから言葉が上手く言えないのかなと
そして2人はダンジョンへ入る
キトラが向かうはダンジョン132層
カンザキの手伝いで、野菜を取りに行くところであった
そしてレオノールを連れて、キトラはダンジョンへと入って行った
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