第28話ダイダロス編10 悪夢の日を超えて

あの神竜バハムートを倒して、ダイダロスの首都であるこの街を救った英雄



として俺達は全員が王宮に招かれていた


街はどんちゃん騒ぎのお祭りになっている


「いやぁー凄かったね。まさかあんなに強いとは思わなかったよーカンザキ君!」


ミタニも類に漏れず、こんな昼間から酒を飲みながら俺に絡んでくる


最初は討伐後も呆然としていたのだが、時間が経つにつれて凄いを連発し始めた


ていうかその見た目で酒はやめなさい酒は。そこはかとない犯罪臭がするぞ


「にゃははは!分かってるね!カンザキは強いよね、さすが私の夫!」


ちょっとまてキャサリン!!


誰が夫だ!いつなった!どうしてだ!


「お姉さま、まだカンザキさまは貴方の夫ではありませーん。でも私も第二夫人として鼻が高いですぅ」


はい!?シアさん?いつ第二夫人に?てゆーかシアはそれで納得している!?あ、姉か!!姉の影響か!?


この酔っ払い共があっ!


「ねぇパパー」


キトラが言った


「ちょっとまてキトラ、いつ俺がパパになった?お兄ちゃんはどこいった?」


いやキトラのパパなら別に構わないが

相変わらずうさ耳が可愛いな!


「さっきね、キャサリンが今日からお兄ちゃんってパパになるのよ……って。だから私はママって呼んでって言ってたよ?」


あの・・・なんか怖いんですが?


シルメリアは黙々と用意されている料理を食べている。うん。美味しそうだね


もはや我関せずと言った具合だ。


そう言えば、なぜ全員でここにきたんだ?


「なあ、なんでキャサリンはここに居るんだよ?」


「ガルバにきいたのさー、色々とーそれよりもこっち来て飲もうぜー。あ・な・たぁん」


キャサリンが俺の傍に来てもたれ掛かってきた


「ぎゃふっ!?」


とりあえず頭にゲンコツを落としておく

するとキャサリンはシアの元にふらふらと走って行って


「シア~旦那様がいじめるの~暴力なの~慰めてほしいにゃ~」


にゃーってなんだにゃーって!!


まあ、キャサリン達が来なかったらマジで結構ヤバかったしなあ。

心配させちまったみたいだし、今日ぐらいは好きにさせてやるか


でもさすがに酔いすぎだろあれは…




俺達が今も王宮でグダグダしているのには訳がある


このダイダロスの次の国王が決まるまで居てくれと言われたのだ



もうかれこれ2日ほど待たされている

あと少し、あと少しと言われてはいるのだが……


ちなみに領主制はなくなり、また王政に戻るようだ


理由はガンドルだ


なんと国王の弟なる人物は存在しなかった


どうやらガンドルが関係者に精神汚染と言うか、記憶を改ざんする魔法をかけていたらしい


ガンドルが死んだ瞬間に解除され、一様に記憶の齟齬に気づいた


その後は一気に王政にもどされ、今に至る

もうこの城の人達が物凄くドタバタしており、現在も国王の国葬の会議と共に発表される次の国王を決める会議と言う凄まじい状況だった


ガンドルという男は実質的にこの国を完全に占拠していたわけだ。実際、魔法も頭のキレと言うか、すさまじい男だったのだろうなと思う



順当にいけば姫が王位継承権一位で間違いがないのだが、幼すぎる故に誰が後継人になるかで揉めているのだと…


皆そう思っていたのだが



カンザキは別室に呼ばれたところで



王妃が突然狂いました



「国王はカンザキ様にお願いすると決まりました」


は?ちょっと待ってね?


「すみません何と言われましたか?いや、聞こえているんですが意味がちょっと理解できないと言いますか」


「あ、申し訳ありません。すこし話が性急でしたね。英雄であるカンザキ様と、私の娘と結婚して頂き国王になっていただこうと言うことですよ」


「いやいやいやいや、娘って今何歳だよって言うか国王とか嫌ですし」



王妃の後ろから姫がちょこっと顔をだし・・・だして・・


「おじちゃん、私嫌いなの・・?」


やばい。これ泣く、泣くパターン。


「いや、嫌いじゃないんだよ?ただ」


「ではよろしくお願いします」


王妃セリフ被せ気味に言うな!

というかやり口がせけえ、絶対これ意味わかってねえだろ!


「今この国は混乱の中にあり国民達は不安を抱えております。そしてカンザキ様はガンドルの野望を打ち砕きあの神竜バハムートすらを倒した英雄です。これ程国王にふさわしいお方はおりません!」


「いや分かるけど分からない!」


王妃マジかこいつ


「カンザキ様が姫で不満と仰られるのならこの私を好きにしてもらって構いませんし。いやむしろ好きにしてくださいそれとも中古だから嫌ですかね?大丈夫です私はまだ23ですし若いつもりです寝屋のお供も全てを尽くすと誓いますしまだ足りないと思われるのであれば好きなだけ妾を作って頂いて構いませんよ。私はそれ程度量は小さくありませんがそれでも週に最低二度はお相手お願い出来ればと思いますが如何でしょうか!!!」




お、王妃様?




「おじちゃん」


ん?


「私も好きにしていいんだよ?」


ぶはっ!


王妃!姫に何言わせてんだってか何教えてんだ!そしてその自信満々のドヤ顔やめい!



「大変申し訳ありませんが、俺にはまだやりたいことがたくさんありまして」


「あら?カンザキ様はまだこの程度ではヤリ足りないと?メイドに手を出しても構いませんよ?」


王妃がそれ違うか


「いえ、まだまだ私は若輩の身でして自分の店を持ったばかりになります。姫もまだお若いようですしどうでしょうか、姫がまた成長された暁にその時にまたこのお話をさせて頂きます」


よっしゃ、こうなりゃとりあえず棚上げだ!



「でもそれだと私はおばさんになってしまいますが?ああ、カンザキ様はそちらの方がお好みと言うわけですね?」


「いや、ちが」


「分かりました、その時まで私、女を磨いてお待ちしております。」


「ちが」


「それではカンザキ様、また数年後によろしくお願いします」


数年後!?



「お、国王はどうされるので?」


「もちろん不在のまま開けてお待ちしております」




それではと言質を取ったと言わんばかりに王妃はそそくさと部屋を出ていった


「おじちゃんまたね!」

姫も王妃について出ていくと




俺は1人部屋に残されたのだった




俺はトボトボとみんなが待つ部屋に戻った



「カンザキ、何だったの?」

キャサリン・・


助けて……

これなんと説明したらいいんだ


「お主も大変よな」


もぐもぐと料理を食べる黒髪の少女


「あの王妃は本気でお主を国王に据えるつもりじゃぞ」


え?お主?


「は?カンザキそれどういう事?」


やだキャサリン目が怖い


「まったく、やはりお主はモテるのぅ」


もぐもぐと料理を食べる黒髪の少女が言った


「あれ?誰この子。黒髪なんて珍しいわね」


キャサリンが黒髪の少女の頭を撫でながら言った


「お。カンザキの隠し子かぁ?」


いやミタニてめえなんてこと言いやがる!



「なん、ですって」


キャサリン今度は声も怖い



少女がテーブルの上に登ってカンザキと目線を合わせて





「さて、これでもう2度目じゃぞ!大人しく我が主人となれ!」








少女はそう言って俺を指さした






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